積立投資なら、リターンは平準化される

 上記グラフ1を見て、いつもいつもこんなに上手くはいかないだろうと思われる方もいると思います。正直、筆者も直近が投資を開始して以来の最高値であり、出来過ぎだと思います。

 必ずしも直近が最高値ということはなく、毎月投資したお金の直近までのリターンは、プラスリターンもあれば、マイナスリターンもあるという風にプラスマイナスのリターンが混在します。

 しかし、長期積立投資は、毎月同じ金額を投資し続けますので、プラスマイナスのリターンは平準化されます。マイナスリターンがあっても、それ以上にプラスリターンを上げられれば、全体ではプラスリターンになるわけです。
 あとは、全体で満足できるリターンになる局面をじっくり待ち、そのときが来たら、投資を止めてリターンを回収するだけです。待つだけなので、簡単だと思いませんか?

市場動向に一喜一憂せず、じっくり投資しよう

 これまで積立投資について書いてきましたが、積立をせず、一括してまとまった資金を投資した場合についても考えてみましょう。

 下のグラフ2をご覧ください。

グラフ2 海外株に一括投資した場合の投資リターン(10年、20年)

※投資対象の海外株は、MSCIコクサイ指数(為替ヘッジなし)とし、それぞれの時点までの10年、20年の投資リターンを表示。例えば、1990年1月であれば、1980年1月or1970年1月に投資スタートの計算

 グラフ2は、一括して海外株に投資し、横軸の期間まで、10年及び20年の期間で長期投資を行った場合の長期リターンを表示しています。
棒グラフの青は10年の投資リターン、オレンジは20年の投資リターンです。

 10年の投資リターンでは、マイナスリターンの期間があります。しかし、全体で見ると、ほとんどの期間はプラスリターンになっています。また20年の投資リターンでは、マイナスリターンの期間はありません。長期で待つことができれば、マイナスリターンにはなっていないわけです。

 あくまで世界経済が拡大するならば、株価も概ね歩調を合わせ上昇するという前提が有効でなければなりませんが、少なくても過去の実績ではそのとおりになっています。下げ相場では、評価損がどんどん大きくなりますので、精神的に耐えるのは大変苦しいものですが、長期間待てれば、過去はプラスリターンになっています。

 評価損が気になる、耐えられないのであれば、一括投資ではなく、積立投資をすべきです。どうしても一括投資をしたいのであれば、長期間待てる根気と評価損に耐えられる精神力が必要です。

 積立投資をするにしても、根気と精神力をもって一括投資をするにしても、「長期」とまず考えてみてください。そうすれば、下げ相場でもそれほど慌てる必要はなく、むしろ投資の好機として考えられるようになります。