3 西松建設(1820・東証1部)

▼どんな銘柄?
 準大手ゼネコンの一角で、ダムやトンネルなどの土木工事に強みがあります。今後の成長を担うものとして、開発・不動産事業、海外事業、新規事業を掲げています。

 海外はタイ、ラオス、ベトナムなどに進出しています。2020年4月に開業予定の「虎ノ門ヒルズビジネスタワー」に参画しており、新本社として活用する他、テナントへの賃貸も行っていく計画です。

▼業績見通し
 2020年3月期は増収増益計画で、第3四半期までは2ケタの増収増益となっています。国内土木工事の売上高の増加がけん引役となっています。

 しかし、2021年3月期は国内建築工事を中心に第3四半期まで受注高は2ケタの減少で、売上高の伸び悩みも想定されます。

 ただし、国内建築工事における低採算案件が一巡することで、利益は底堅い推移が続くものとみられます。減配などへの懸念も乏しいでしょう。

▼ここがポイント
「虎ノ門ヒルズビジネスタワー」では、年間30億円程度の利益寄与が見込まれています。

 開発・不動産事業ではこうしたオフィスビルの他、ホテル事業への参入も予定しています。2022年には、富山駅前に「ホテルJALシティ富山」を開業する予定になっており、事業領域拡大に向けた積極展開として評価できるでしょう。

4 九州電力(9508・東証1部)

▼どんな銘柄?
 九州7県を事業地域とする電力会社です。火力発電は8カ所で設備量996.0万kW、水力発電は143カ所で358.0万kW、原子力発電は玄海と川内の2カ所で469.9万kWなどとなっています。

 テロ対策施設の完成が計画期限に間に合わず、川内原発1号機が3月に、2号機が5月に運転停止となります。数カ月程度の停止となる見込みです。

▼業績見通し
 昨年10月には、2020年3月期業績予想と配当予想の引き下げを発表しています。他社への卸電力の売上高減少、LNG(液化天然ガス)転売における大幅な市況下落などが影響しました。

 2021年3月期経常利益は一段と減益幅拡大の可能性が高いとみられます。前述した川内原発の稼働停止に伴う原発利用率の低下で、収益減少が予想されるためです。

▼ここがポイント
 2021年3月期は収益水準が一段と低下しますが、減配の可能性は低いと考えられます。上半期の説明会では、今後は段階的に上昇している姿を見せたいと社長コメントもあった他、2022年3月期には収益水準の急回復が予想されることが背景です。

 2021年3月期の大幅減益が減配につながるとの懸念が低下することにより、株価の見直し余地が出てくる可能性もあるでしょう。なお、財務体質の改善が遅れているため、50円配当までの回復には時間が掛かりそうです。

5 長谷工コーポ(1808・東証1部)

▼どんな銘柄?
 マンション建設の最大手企業で、累計施工数は65万戸を超え、現在ある国内マンションの約1割を施工しています。国内トップの施工実績を背景としたトータルプロデュース、「土地持込による特命受注方式」などが強みとなっています。

 2月に発表した中期計画では、2025年3月期経常利益1,000億円を数値目標としています。

▼業績見通し
 2020年3月期は減収2ケタ経常減益の見通しです。不動産取扱量の減少、マンション建築工事の完成工事総利益率の低下などが背景です。

 2021年3月期以降も、新築マンション供給戸数の水準低下によって、減益基調の継続が避けられない見通しです。実際、会社計画の中期目標数値は、2019年3月期の実績水準にとどまっています。

 今後は、マンション建築依存からの脱却を図るべく、賃貸不動産や海外事業への投資の積極化、成長の礎を作っていく計画です。

▼ここがポイント
 2月の中期計画では株主還元強化方針も発表しています。年間配当金の下限を70円とするとともに、今後5年間の累計総還元性向を40%程度と設定しました。当面、業績の端境期を迎えるにあたっても、減配リスクを考慮する必要性が大きく低下することになります。