新型コロナウイルスによる業績懸念が小さい高配当銘柄

新型コロナウイルスによる業績懸念が小さい高配当利回り銘柄ランキング(2020年2月28日時点)

コード 銘柄名 配当
利回り(%)
2月末
終値(円)
時価総額
(百万円)
会社予想
配当利回り(%)
1878 大東建託 5.68 10,975 830,027 5.61
4502 武田薬品工業 4.78 3,763 5,931,831 4.78
1820 西松建設 4.48 2,272 126,304 4.40
9508 九州電力 4.48 782 370,812 4.48
1808 長谷工コーポレーション 4.32 1,390 418,104 5.04
配当利回り平均(%) 4.75

銘柄選定の要件

(1)予想配当利回りが4%以上(2020年2月末)
(2)時価総額が1,000億円以上(2020年2月末)
(3)建設、医薬品、不動産、電力・ガス、情報通信いずれかのセクター

1 大東建託(1878・東証1部)

▼どんな銘柄?
 賃貸建物の設計・施工を行う建設事業、その管理・運営代行などを行う不動産事業を展開しています。賃貸住宅入居者数は約200万人、賃貸建物管理戸数は108.6万戸(ともに前期末時点)となっています。

 また、貸家着工戸数のシェアは15%前後の水準にあります。配当性向は50%に設定しています。

▼業績見通し
 2020年3月期業績計画では、21期連続増収、12期連続経常増益の見通しになっています。

 第3四半期までは2ケタ減益となっているため、連続増益記録がストップする可能性もありますが、株価への織り込みは進んでいるため、大きなショックはないとみられます。

 不動産事業は堅調に推移していますが、建設事業が完成工事高の減少や粗利益率の低下で苦戦している状況です。なお、配当性向50%を掲げていることで、当期純利益の下振れ分は減配につながることになります。

▼ここがポイント
 建設事業の受注高は足元の1月まで2ケタの減少が続いていますので、受注が例年大きく膨らむ3月の数値が低水準となれば、来年度の業績に対する警戒感が強まる恐れもあります。

 現状で配当利回り水準は大型株の中でトップクラスであり、今・来期の当期純利益水準が大きく低下しないことが確認できれば、株価の大幅な水準訂正が期待できるでしょう。

2 武田薬品工業(4502・東証1部)

▼どんな銘柄?
 国内製薬業界でのトップ企業で、がん、希少疾患、神経精神疾患、消化器系疾患の4つの疾患領域に注力しています。

 2019年1月、アイルランドの製薬大手シャイアーの買収を完了、買収総額は円換算で約6.2兆円と、日本企業として過去最高額のM&A(企業の合併・買収)となりました。これにより、事業規模は世界トップ10に仲間入りすることになりました。

▼業績見通し
 足元の業績は好調です。2020年3月期営業損益は100億円の黒字予想に上方修正、大型買収によるのれん償却の影響で見かけ上の利益水準は低くなっていますが、実質的なコア営業利益は9,500億円の水準となります。

 14のグローバル製品が順調に拡大していること、シャイアーとの統合によるコストシナジーが進捗していることが背景です。

 大型買収による悪化が懸念された財務体質も順調な改善を見せています。

▼ここがポイント
 2021年度には、抗がん剤TAK-788/TAK-924、希少疾病薬TAK-620/TAK-609、デング熱ワクチンTAK-003などの市販計画があります。

 現在、有利子負債の圧縮や事業の選択と集中を進めるため、最大100億ドル規模の資産売却方針を打ち出していますが、足元でも順調に売却が進んでいることは評価材料ともいえるでしょう。