人気トップ5、窪田のコメント

 人気上位の5位まで、以下、個別に詳しくコメントします。

【1】オリックス(8591)

 オリックスは、優待に加え、予想配当利回りが4.4%(3月3日時点)と高いことも魅力です。前期まで、純利益は5期連続で最高益を更新していました。

 今期は減益となる見込みですが、収益基盤は安定的で、長期的に安定収益を稼ぐと予想しています。リース事業でコア収益を稼ぎつつ、信託・保険・事業投資など幅広い多角化で利益を稼いでいます。

 オリックスは、海外で稼ぐ力があることも高く評価できます。今期第3四半期まで(2019年4-12月期)の利益で見ると、海外事業の利益は前年比363億円増の1,319億円で、セグメント利益全体の37%を占めています。

【2】ヤマダ電機(9831)

 ヤマダ電機への投資は見送るべきと判断しています。優待人気株として常に上位に出てくるのですが、ヤマダ電機を長年分析してきたアナリストとして、違和感を覚えています。

 ヤマダ電機は、構造的に収益力が低下しています。同社は、2017年3月期から2019年3月期まで、3期連続で業績見通しを下方修正しました。

 2017年3月期の営業利益を、同社は期初に714億円と予想していましたが、着地は578億円でした。2018年3月期の営業利益は、期初予想が746億円でしたが、着地は387億円でした。そして、前期(2019年3月期)の営業利益は、期初予想が721億円でしたが、着地は278億円でした。

 今期(2020年3月期)の営業利益について、ヤマダ電機は前期比52.9%の426億円を見込んでいます。上半期(2019年4-9月期)に247億円の営業利益をあげていますが、消費税引き上げ前の駆け込み販売の恩恵を受けています。下半期は、消費税引き上げ後の落ち込みに加え、新型コロナウイルスによるインバウンド消費減少の影響を受け、業績が悪化します。通期の営業利益は、会社予想に少し足りなくなる可能性があると見ています。

 2つの経営戦略のミスが、ヤマダ電機の構造的な収益低下につながっています。1つは、出店戦略のミス。都市部に集中出店せず、郊外や地方に大量出店したのが裏目に出ました。もう1つは、多角化戦略のミスです。エスバイエルを買収して参入した住宅事業が足を引っ張っています。家電販売と住宅販売は、それぞれ専門知識が必要で、シナジーを出しにくい面があったと考えています。

 住宅の販売員には高度な専門知識が必要で、家電量販店でその人員を育成するのは容易でありません。住宅事業の経営そのものにも、下請け業者の管理や部材の調達などで家電量販店とはまったく異なるノウハウが必要です。住宅は新商品の開発競争も厳しくなっています。スマートハウスや介護住宅の開発で優位にたつのは困難です。

 ヤマダ電機が買収した旧エスバイエルは、ツーバイフォー工法で安価な規格品を作るのに強みがありましたが、多様な商品開発が求められる時代に入って、競争力が低下しつつありました。ヤマダ電機の傘下に入っても、強みを取り戻すのは難しい状況です。

 ヤマダ電機は、経営不振に陥っている大塚家具を子会社化しました。赤字続きの大塚家具を買収しても業績を立て直すメドは立たず、エスバイエルと同様、経営の重荷となるでしょう。

 もし大塚家具が、すぐれた商品を持ちながら販売力の不足で経営が低迷しているならば、ヤマダ電機の販売力で立て直すことが可能かもしれません。ところが、大塚家具の不振は販売力の問題ではありません。ニトリと比べて商品力で劣後していることが不振の原因です。ニトリは住居製品・生活雑貨で次々と魅力的な新製品を開発し、売り上げを伸ばしています。大塚家具の販売を立て直すには、住居製品でニトリのように魅力的なプライベートブランド品を次々と開発する必要があります。

 ところが、ヤマダ電機には販売力はありますが、家具・住居製品の分野の商品開発力があるとは考えられません。大塚家具の買収が経営判断のミスであったことが判明するのは、時間の問題と考えます。