インデックスかアクティブファンドか
吉井 ファンドアナリストという仕事をしていると、よく投資家の方からインデックスファンドがいいのか、アクティブファンドがいいのかと質問されます。私は一貫して「どちらがいいということではない」とお答えしています。
そもそも、インデックスファンドを選ぶという行為自体が「アクティブ(能動的)」な選択ではないでしょうか。
その上でアクティブファンドを買ってわくわくしたい、経済成長プラスアルファを取りたいというのなら、ファンドマネジャーの腕を見極めなければなりません。そこで大事なことは「哲学」です。続いて、皆さんが運用されているファンドの哲学を教えてください。
奥野 哲学は「ミッキー」です。ディズニーの株を持てば、世界各地のディズニーランドでミッキーマウスが皆さんのために働いてくれます。ミッキーマウスの働きがディズニーの利益になり、それが投資家である皆さんに還元されます。先にお話した「3つの条件」とは、まさに、ディズニーのようないい会社を選ぶための条件です。具体的には、1.付加価値の高い産業、2.圧倒的な競争優位性、3.長期的な潮流です。
ミッキーマウスは唯一無二の存在で、いなくなったら困りますよね。これが付加価値です。他のキャラクターと比べても圧倒的に競争優位があることも明らかです。新興国が豊かになれば、ディズニーランドに行く人も増えるし、新興国にも新たなディズニーランドができる可能性もある。先進国の人口増大は言うまでもなく、新興国の成長も長期的な潮流ととらえることができます。新興国の発展をとるために新興国株を買う人がいますが、そんなことをする必要はなくて、ディズニーの株を買えばいいのです。
私は、この「3つの条件」を満たす会社を見つけたら、投資家の皆さんから預かったお金をその会社に張り付けます。これこそが、私の投資哲学です。つまり、「売らない会社しか買わない」ということです。頻繁に売買する必要なんてありません。だから、「農林中金<パートナーズ>長期厳選投資 おおぶね」に組み込んでいる25社は、どれも保有するべき「よい会社」なのであって、売買する対象ではありません。
酒井 キーワードに挙げた「3,600」は、東京証券取引所に上場している企業の数です。私自身、3,600社は投資に値するポテンシャルのある企業で、自分の運用するファンドに組み入
れる候補企業と思っています。
私たちが運用する「One国内株オープン 自由演技」が目指しているのは、「(投資家の)皆さまに愛されるファンド」です。投資家の皆さんはそれぞれご自身の判断で、好きなタイミングでファンドを購入され、売却されていると思います。今日買って1年後に売る方もいるでしょうし、3年後に売る方もいるでしょう。
私は、投資家の皆さんがどのタイミングで売買してもリターンが得られる、投資家にとって「都合のいい」運用をしたいと思っています。そのためには、どの局面においてもリターンと安心感の双方をご提供し続けなければなりません。
ここで考えてみてください。ファンドを保有していて「不満感」が生じるのは、どういうときか。マーケットが下がって自分が保有しているファンドの評価も下がったときはもちろんですが、マーケットが2割、3割上がっているのに、自分のファンドは1割しか上がっていなかったときも不満を覚えませんか。
そこで、リターンという目に見える経済的な価値を提供することに加えて、「このファンドを買ったのは失敗だったかも…」と不安に思う場面をなるべく少なくすることが大事だと思っています。
木村 私は、哲学というより、「三井住友・配当フォーカスオープン」の運用方針を説明させてください。このファンドは、高水準の配当を継続することが期待される銘柄に厳選投資を行います。
組み入れる銘柄に対して、業績の成長性とか増配とかは期待しません。高配当銘柄の配当利回りはそもそも高水準なので、それを継続することができるかどうかを特に重要視しています。このことを皆さんにお伝えしたい。
アクティブファンドには、中身(銘柄)を吟味してくれるファンドマネージャーがいることが分かりました。後半は、銘柄を具体的にどう選んでいるか、参考にしたい後半戦です!