アクティブファンドマネジャーはすし職人
奥野 アクティブファンドマネジャーはすし職人。
自信のあるネタを自ら吟味して、握ってお客さまに満足してもらう。そもそも株式投資というのは、売ったり買ったりすることだと思っている方が多いですが、私たちの考え方は全く違います。
株式投資の本質は、「本当にいい会社」のオーナーになること。本当にいい会社の利益は長期的には上がり続けます。
一例ですが、外国の会社ならディズニー、日本の会社ならトヨタ自動車。今後どうなるかは、事業の強さを見極める必要がありますが、両社は利益も株価も10年、20年の長期でみれば上がり続けてきました。もちろんその時々の上がり下がりはありますが。
TOPIXのようなインデックスは、木村さんが指摘されたように、この20年もの間、一定のレンジの中で上下しているだけで、米国のS&P500指数のように上に大きく突き抜けていない。これはTOPIXの対象となっている日本企業のほとんどが利益を長期的に上げてこなかった結果です。
つまりインデックスファンドがいいのか、アクティブファンドがいいのか、あるいは個別株投資がいいのか、そんな議論にはあまり意味がありません。大事なことは、投資対象となる企業が利益を上げ続けることができるのか、ということです。
私たちが運用している「農林中金<パートナーズ>長期厳選投資 おおぶね」は、組み入れる会社が、利益を出し続けることができるのかどうかを見極めるのに相当な時間とコストをかけています。米国企業に投資するときは、2カ月に1回以上渡米して実際に企業を訪問し、経営者に会ったり工場を見学したりします。
後ほどご説明しますが、投資対象となる企業を選ぶにあたっては、「3つの条件」を満たしているかどうかを現地に訪問して調べます。その結果を日本に持ち帰って、ファンドのオーナーである投資家に詳しく説明するわけです。
よいすし職人というのは、実際に魚市場へ足を運んでネタとなる魚を厳選し、新鮮なうちにさばいて握って、お客さまに提供する。そして、カウンター越しの会話を通して、満足してくれたかどうかを探ります。それと同じですね。