3 三菱重工(7011・東証1部)
▼どんな銘柄?
総合重機の最大手メーカーです。ガスタービンから航空機・ロケット、造船、防衛機器などを幅広く展開し、各種産業機械でも有力です。ここ数年は業績拡大に伴って増配を実施するなど、株主還元姿勢も強めています。
▼業績見通し
2021年3月期の経常利益コンセンサスには土地売却益など特殊要因も含まれているとみられますが、原子力や火力などパワー事業の回復、開発費減少などスペースジェットの赤字縮小などが増益要因として考えられます。
なお、会社側の中期計画では、2021年3月期の事業利益を3,000億円とし、2020年3月期予想2,200億円から大幅な増益を想定しています。
▼ここがポイント
目先注目されるのはスペースジェットの事業化であり、足元で強まってきている不透明感が後退する形となれば株価評価の材料とされる見通しです。
その他、事業の選択と集中への余地が大きいとみられ、中期的には事業構造改革の一段の進展も株価上昇材料となってきそうです。
4 アイシン精機(7259・東証1部)
▼どんな銘柄?
トヨタ自動車系列の自動車部品大手企業です。トランスミッションやエンジン周り部品などのパワートレイン領域、ブレーキやステアリングなどの走行安全領域、ドアやシートなど車体領域、カーナビやセンサーなど情報・電子に至るまで幅広く扱っています。
2021年4月にアイシン・エィ・ダブリュと合併を予定しています。
▼業績見通し
2020年3月期業績は大幅減益となる見通しですが、最大の要因は中国ローカルメーカーなどからの受注減少といえます。同社は中国の営業利益構成比が2019年3月期には2割強を占めるなど相対的にウェイトが高い状況にあります。
短期的に新型肺炎の影響が懸念されますが、2019年後半にかけては中国自動車販売に回復の兆しも見られていたことで、基調は追い風の方向とみられます。主力部品の販売回復、業績の大幅回復が期待できます。
▼ここがポイント
トヨタの電動車計画の前倒しを受けて、同社でもAT(オートマチック車)販売における電動化製品の引き上げを打ち出しています。
当面の注目点として、トヨタグループ内の再編の動き、トヨタの電動車計画の進捗などが株価材料とされそうです。
5 ニコン(7731・東証1部)
▼どんな銘柄?
デジタルカメラと半導体製造装置が二本柱となります。一眼レフカメラではキヤノン(7751)とトップを争い、半導体・液晶製造装置では露光装置を手掛けており、インテル向けのウェイトが高いとみられています。超解像顕微鏡や再生医療/創薬研究ソリューションといったヘルスケア事業などにも注力しています。
▼業績見通し
2020年3月期は大幅減益の見込みです。デジタルカメラ市場が想定以上のペースで縮小し、構造改革費用の計上も重しとなっています。ただ、端境(はざかい)期となっていた半導体製造装置事業が、半導体市場の回復鮮明化によって2021年3月期は業績に貢献する見通しです。デジカメなど映像事業の赤字は継続する公算もありますが、全体収益は大幅増益転換が予想されます。
▼ここがポイント
半導体製造装置関連企業の一角と捉えた場合、株価の相対的な出遅れ感は強いといえます。構造改革費用の計上を織り込んでも、0.8倍台のPBR水準には割安感も感じられます。一方、3月24日までを取得期間とする自社株買い終了のタイミングは、一時的に需給期待が後退する可能性もあります。