SCREENホールディングス
1.2020年3月期3Qは5%減収、7%営業増益
SCREENホールディングスの2020年3月期3Qは、売上高778億6,100万円(前年比5.4%減)、営業利益39億5,800万円(同7.0%増)でした。営業利益は一ケタ増益ですが、前3Qの利益水準が低水準だったため、良好とはいえない決算でした。
セグメント別に見ると、SPE(半導体製造装置事業)が売上高515億円(前年比11.5%減)、営業利益42億円(同14.3%減)となり、前期2019年3月期に続いて今期も低水準な結果になりました。SCREENホールディングスは、半導体製造工程の中の前工程(ウェハプロセス)の重要装置である洗浄装置でトップの会社です(市場シェアは枚様式40%[2位は東京エレクトロン25%]、バッチ式64%[2位は東京エレクトロン26%])。
SPE以外の、GA(グラフィックアーツ機器事業)、FT(ディスプレー製造装置および成膜装置事業)、PE(プリント基板関連機器事業)も低水準な結果となりました。
表5 SCREENホールディングスの業績
表6 SCREENホールディングス:セグメント別損益動向(四半期ベース)
表7 SCREENホールディングス:セグメント別損益動向(通期ベース)
2.会社側は2020年3月期会社予想業績を下方修正
会社側は今3Q決算発表時に、前回の2020年3月期会社予想業績、売上高3,290億円(前年比9.7%減)、営業利益250億円(15.7%減)を、売上高3,270億円(同10.2%減)、営業利益130億円(同56.1%減)へ下方修正しました。
このうちSPEは、前回予想の売上高2,290億円(同9.3%減)、営業利益250億円(同3.1%減)が、今回予想では売上高2,315億円(同8.3%減)、営業利益165億円(同36.0%減)となる見込みです。
会社側の半導体設備投資の見方では、ファウンドリ(半導体受託製造業者)、ロジック半導体の設備投資が増加しており、メモリ投資の回復は2020年半ば以降になるとしています。実際に、最先端ロジック半導体の設備投資がけん引する形で半導体設備投資は回復に向かっています。メモリ投資も、NAND型フラッシュメモリの設備投資が一部で再開しています。
ただし、SCREENホールディングスの場合は、今期は今4Qに納入する半導体製造装置に不採算案件があること、今3Qに見込んでいた半導体製造装置の一部案件の受注が来期に延期になったため工場稼働率が急低下したこと、半導体製造装置のサプライチェーンの混乱が続いているもようであることから(部品を他社が仕入れているような安い価格で仕入れることができない。前期の業績下方修正の要因の一つとなった)、当初見込んでいた業績は達成できないもようです。
また、GA、FTも下方修正となりました。
来期に向けて注目されるのは、会社側が来期に受注が延期されたとしている半導体製造装置の案件が実際に来期に受注できるのか(キャンセルではないのか)、工場稼働率が回復し、サプライチェーンの不備も改善し、営業利益率が回復するのかです。会社側は洗浄装置の市場シェアは低下していないとしていますが、これを確認する必要もあります。この見極めは少なくとも、来期に入ってからの四半期決算を確認する必要があります。
また、SPEの受注動向を見ると(グラフ3)、業界全体の動向のように回復、増加基調にはなく、逆に減少基調になっています。業績動向の回復を確認するために受注の回復も確認したいと思います。
グラフ3 SCREENホールディングスの半導体製造装置事業受注高
3.今後6~12カ月間の目標株価を1万1,000円から7,000円に引き下げる
今後6~12カ月間のSCREENホールディングスの目標株価を、前回の1万1,000円から引き下げて7,000円とします。業績が低水準で不安定なので、今の株価に近い7,000円を当面の目標株価としました。来期に向けて、生産性の改善、受注の増加が確認できれば、再び業績と株価の回復が期待できるため、今4Q、来1Qの決算と受注動向に注意したいと思います。
本レポートに掲載した銘柄:レーザーテック(6920)、SCREENホールディングス(7735)