2018年問題を無事クリアした都心オフィスビル、20年はどうか?

 オフィスビルには、2017年まで、「2018年問題」と呼ばれて警戒されていた問題がありました。18年に都心でオフィス供給が大幅に増加するので、一時的に供給過剰となり、賃料が下がるという警戒でした。蓋を開けてみると、18年に新規竣工したオフィスは、増加する需要で難なく吸収されました。

 オフィスの利用状況を見ると、各机にパソコンが常備され、通路が広くなるなど、1人当たりの占有面積が拡大する傾向があります。商業施設でも、通路や駐車スペースが広くなるなど、より大きなスペースを必要とする造りに変わってきています。IT産業のオフィス拡大が続いていることに加え、1人当たり占有面積の拡大が、想定以上の需要増加につながっています。

 オフィスビルには「2020年問題」と呼ばれている懸念もありました。18年と同様、20年にもオフィス供給が大幅に増えることです。ただし、それも増大する需要によって、吸収される見込みとなってきました。もし20年の大量供給も増大する需要で吸収されてしまえば、21・22年にはオフィス供給は大幅に減少するので、オフィス市況は高止まりが続くことになります。

マンション・ブームにはピークアウトの兆しも

 バブル時(1990年)に6千万円まで上がった首都圏マンションの平均販売価格は、バブル崩壊後4千万円くらいまで下がって安定しました。4千万円は、世帯年収8百万円の家庭にとって年収の5倍で、買いやすい価格と言われていました。

 ところが、2013年からのブームで、販売価格は5千万を超え、6千万円に達しています。バブル時の水準まで上昇したため、これから需要が縮小する懸念が出ています。

 一方、都心オフィスビルの賃料は、上がってきたと言ってもまだ坪あたり2万円強です。不動産ミニバブルと言われた2007年の水準を超えていません。元祖バブルの1990年には、坪当たり10万円の物件もあったことを思えば、今の賃料が過熱しているとは言えません。
 私は、オフィス市況に過熱感はないが、マンション市況はやや過熱しており、注意が必要と考えています。