新型肺炎考慮せず?IMF経済見通しは中国を上方修正?

 下表はIMF(国際通貨基金)が1月20日に公表した世界経済見通しです。2020年の世界経済の成長を2019年10月時点の見通しよりも、▲0.1%下方修正しました。下方修正の背景は米国と貿易相手国との摩擦の激化、新興国経済の下ぶれ、米国とイランの対立など地政学リスクを世界経済の不安要因として挙げています。

 ところが、2020年の中国の成長は10月時点よりも0.2%上方修正されました。米国との貿易戦争が休戦になったことが要因のようですが、この見通しには新型肺炎の影響は考慮されていません。もし、感染拡大が長引けば、中国の成長は下方修正され、世界経済はさらに下方修正される可能性があります。感染拡大の地域、期間によって、どの国がどの程度影響を受けるのか現時点では全く分からない状況ですが、留意する必要があります。

 また、2020年の日本経済も大型の経済政策の下支えによって0.2%上方修正されていますが、もし、新型肺炎の影響が大きければ景気は失速し、日銀の金融緩和期待によって円高一辺倒の動きでなくなるかもしれません。この点についても留意する必要がありそうです。

IMF 世界経済見通し(成長率)

単位:%
注:2020年1月時点。( )内は2019年10月時点からの修正幅