2つの事例から学ぶべきこと

 財産を失わないようにするには、どうすればよかったでしょうか。

 1つ目のAさんの事例は、1つの銘柄に資金を集中させてしまったことが原因です。もし1つの銘柄に絞るのではなく、資金の10分の1で同じことをしていたら、ここまでの致命傷にはならなかったわけです。

 確かに、集中投資や空売りを仕掛けることで、大きな利益を得られることもあります。でも、100%成功するわけではありません。逆の目が出た場合、大きな損失につながる危険性も十分考えられるのです。

 どんなに自信がある銘柄でも、資金を集中させ過ぎないことが肝要です。

早期の損切りが自分の財産を救う

 また、Aさんのケースでは突然の急落なので実行できませんが、Bさんのケースでは早期に「損切り」をしておけば、間違いなくここまで悲惨な結果にはなりませんでした。

 損切りをせずに損失が拡大しても我慢し続けた結果、最後には我慢の限界を超えてほぼ一文無しになってしまったのです。

 空売りをした後で株価が逆に上昇し、含み損が拡大しているなら、早めに諦めて空売りの買い戻しを行い、決済すべきだったのです。

 しかし、Bさんは空売りした株の損切りではなく「空売り」を追加してしまったのです。これは非常に危険な行為と言わざるを得ません。

 ただでさえ、空売りした株が上昇して損失が拡大しているのに、そこに空売りを追加した後にさらに株価が上昇したら、さらに損失が大きく膨らんでしまいます。

 信用取引で大きな失敗をする方は、意識してか無意識かは分かりませんが、自分自身の行動に絶対的な自信を持っています。だから自分の予測と逆方向に株価が動いても、行動を訂正せずに我慢してしまうのです。

 信用取引は、たった一度の失敗が、取り返しのつかない結果をもたらすことも多々あります。どんなに自信があっても資金を1つの銘柄に集中しないこと、そして思惑と逆方向に株価が動いたら早期に損切りを行うこと、この2つは絶対に守るようにしてください。