5:トレード・デスク(TTD)

 最後に、同じく「広告の透明性」という観点から注目しているトレード・デスク(TTD)を紹介します。

 トレード・デスクは2016年に上場したばかりの企業で、広告主向けの広告枠プラットフォームを展開しています。主な顧客は広告代理店等ですが、ビッグデータやAIを駆使して、彼らに効率的でコストをおさえた広告枠を提供しています。業績は上場前の2013年にすでに黒字化しており、2018年度の売上高は477百万ドル、調整後純利益は124百万ドルです。

トレード・デスクの業績推移
単位:百万ドル
左軸:売上高、右軸:調整後純利益

出所:会社資料より楽天証券作成

  同社の最近の動きで注目したいのは、広告枠の中でもスマートTVや音声広告が大きく伸びている点です。2019年度第3四半期の業績で、会社側は「売上高は前年同期比で38%増加し、競合(プログラマティック広告)平均を大きく上回る成長になった」と述べています。カテゴリー別の支出額については、会社側は「スマートTV向けが145%増加し、オーディオ向けが160%伸びた」と発表しています。

 なお、オーディオ向けとは、音楽ストリーミングサービスなどを指します。スマートTVもそうですが、オンラインにつながった新しい端末の登場や、新しいサービスの広がりが、同社にとって新規開拓のチャンスになっているようです。

※松村梨加の次回レポートは2月25日(火)掲載です。