9月14日:新車販売が減速傾向、高付加価値化で収益2桁増も個別に明暗

 新車販売台数の減速にもかかわらず、中国自動車セクターの売上高、税引き前利益は2017年上期に前年同期比2桁増を達成した。製品・技術アップグレードに伴う業界全体の平均販売価格の上昇が背景。ただ、BOCIは主要メーカーが個別に明暗を分けている現状を指摘。今後は市場競争がさらに激化し、ニューモデルの投入ペースだけではなく、製品競争力の違いが勝敗を分けるとみている。また、ピーク期が到来する17年下期に関しては、「小型車減税(1600cc以下)」の年末終了を控えた駆け込み需要が、乗用車販売の底上げに寄与するとの見方。個別では吉利汽車(00175)をトップピックとし、ほかにブリリアンス・チャイナ(01114)、広州汽車集団(02238)を選好している。

 乗用車販売台数は16年に前年比14.9%の伸びを示したが、17年1-8月には前年同期比2.2%増と、減速傾向が鮮明となっている。対照的に商用車は同16.9%増と、主に大型貨物車の販売急増(同74.9%増)を背景に好調。新車全体では同4.3%の伸びだった。

 ただ、新車販売の減速にも関わらず、セクター全体の売上高、税引き前利益は17年上期に前年同期比11.9%増、11.5%増と堅調(中国汽車工業協会調べ)。BOCIは収益計上までのタイムラグに加え、高付加価値化に伴う価格上昇が寄与したとみている。

 上期の新車市場では外資系ブランドが国別に明暗を分け、日本、ドイツ系高級ブランドの好調が際立つ半面、韓国、フランス系ブランドが明らかに苦戦した。中国国内の独自開発ブランド、いわゆる“自主ブランド”をみても、有力ブランドとその他中小ブランドが明らかに明暗を分ける形となった。

 自動車部品セクターの17年上期決算は前年同期比12.4%増収、18.4%増益。ただ、川下市場の好不調や為替損益の違いなどから、やはり大手各社が明暗を分けた。一方、自動車ディーラーを見ると、主要4銘柄の上期業績がいずれもBOCIの予想を上回る水準。主に高級車市場の好調がアフタサービス、高付加価値サービスの成長に寄与した。

 小型車減税が17年末で終了することやピークシーズンの到来を受け、BOCIは下期の乗用車販売の加速を予想し、17年通年の販売台数について前年比3.5%増を見込む。上期実績は前年同期比1.6%増であり、下期に同5.0%増を予測していることになる。一方、商用車販売に関しては、17年予想を前年比13.9%増から同16.6%増に上方修正した。

 BOCIによると、香港上場の自動車銘柄は現在、17年、18年予想PERで平均13.2倍、同10.4倍の水準で取引されている。ただ、個別では同5-12倍と、各社のファンダメンタルズを反映する形で格差が大きい。BOCIは吉利汽車、ブリリアンス、広州汽車集団の株価の先行きに対して強気見通しを示す一方、長城汽車(02333)、東風汽車集団(00489)、北京汽車(01958)に対しては中立的。部品銘柄では、主に福耀ガラス(03606)と比較した出遅れ感から、ネクスティア(01316)に対して強気見通しを示している。