こんまりが豪州の景気を冷やしている?
もう一つの興味深い記事は、11月7日の豪紙「シドニー・モーニング・ヘラルド」に掲載された、豪州の政策金利が過去最低の0.75%が続いているのは、「こんまり」の愛称で知られる片付けコンサルタントが間接的に影響を及ぼしているという内容の紹介記事でした。
ここ数年、豪州のテレビではミニマリズム(必要最小限まで減らす考え方)をテーマにしたドキュメンタリー番組や“War on waste(無駄との戦い)”といった番組がはやっているそうです。火付け役は「ときめく」か「ときめかない」かで、不要なものを捨てることを勧める「こんまり」と指摘し、「安価な商品の輸入に支えられた大量消費時代が終わりを告げ、よく熟慮された消費主義に代わろうとしている」と説明しています。
つまり、消費が冷え込んだのは景気が減速したのではなく、生活スタイルが変わったため消費行動が変わり、景気が減速し、政策金利が低下したという内容です。景気が拡大しないため消費行動が慎重になったのかもしれませんが、根本となる生活スタイルが変わるのであれば、このトレンドは続くかもしれません。つまり、低金利は続くかもしれないということになります。
「こんまり」の「ときめく」か「ときめかない」かで不要物を捨てる「片づけの魔法」術は米国でも人気です。これに環境問題が加わり、世界的に消費行動が変わるのであれば、低成長の世界は続くかもしれません。
相場が大きく動かない背景が低成長、低金利、低物価。そしてそれらの根本的な背景が人口減少、環境問題をも重視した消費行動となると、来年もそのトレンドは続くことが予想されます。そうなると、相場は今年と同じように動きづらい環境になるかもしれません。
クリスマス相場の重要イベントをチェック
さて、相場が動かなくなると、つらつらとこのようなことを考えてしまいますが、クリスマス相場に入っているかもしれない12月中旬には重要なイベントが待ち構えていることを留意しておく必要があります。12月15日はトランプ米政権が対中追加関税第4弾の実施予定日です。そしてその前に12月11日のFOMC(米連邦公開市場委員会)、12日のラガルドECB(欧州中央銀行)新総裁の初会合、同じく12日には英国総選挙があります。12月中旬は年内最後のイベント週となりそうで、動かない中でもまだ緊張を緩めるわけにはいかないようです。