7月6日 
海外リスク軽減や本土資金の流入が追い風、7月の相場に楽観見通し

海外リスクの緩和や香港への本土資金の流入を背景に、「セル・イン・メイ」との相場格言は2017年に関してはあてはまらず、ハンセン指数、MSCI中国指数は5月、6月と連続で上昇。17年上期の値上がり率はそれぞれ17.1%、24.5%に達した。続く7月は、香港株式市場にとって伝統的に相場が上昇しやすい月であり、過去12年の平均リターンは3.5-4.0%。ハンセン指数はうち11回、MSCI中国指数は10回値上がりするという好成績を収めた。BOCIはFRB(米連邦準備制度理事会)のストレステストに見られた米金融システムの健全化が、香港市場にとっては外部リスクの軽減につながるとの見方。さらに◇今秋の第19回党大会まで中国経済や金融市場のシステミックリスクが限定的であること、◇本土資金の香港への流入が加速する可能性が高いこと――などを指摘し、7-9月期の相場に対して楽観見通しを継続している。個別では中国燃気控股有限公司(チャイナ・ガス・ホールディングス:00384)を香港上場銘柄の推奨リストに追加。一方、金山軟件有限公司(キングソフト:03888)を除外した。

 

中国では「供給側改革」が進行中。過剰設備問題が特に深刻な鉄鋼、石炭業界で旧式設備の淘汰が加速し、両セクターの余剰生産体質は大きく改善した。冷延鋼、熱延鋼の価格上昇率は6月末で前年同期比36.4%、41.6%。秦皇島の高品位炭価格(山西省産)も同54.4-60.9%の上昇を記録。鉄鋼、石炭各社の上期の業績改善が確実な情勢となった。

 

中国経済は17年1-3月期に明らかに持ち直したが、BOCIはこの回復の勢いが7-9月まで続くと予想。穏健方向への金融政策へのシフトをその理由に挙げた。直近の指標を見ると、6月の製造業PMI(購買担当者景気指数)は51.7。前月の51.2を上回り、年初から2番目の高水準を記録している。また、国家統計局が発表した国内の工業企業の税引き前利益は5月に前年同月比16.7%増と、4月を2.7ポイント上回る水準。利益成長ペースが引き続き加速していることが分かった。ただ、BOCIは政策調整を理由に、この先、利益成長率が緩やかに減速する可能性を指摘している。

 

一方、本土投資家の香港上場銘柄に対する投資意欲は依然旺盛で、相互取引制度を通じた本土からの対香港株投資「サウスバウンド」は5月に297億元、6月に133億元と20カ月連続の純流入となった。BOCIは香港上場銘柄の相対的な割安感や本土保険資金の流入を背景に、17年通年で2700億元の純流入を見込む(16年は2062億元)。

 

BOCIは本土A株市場や世界主要市場と比べた香港市場の低バリュエーションを指摘している。また、ヒストリカル値と比較した値ごろ感を指摘。ハンセン指数の17年予想PER、PBRが現時点で12.4倍、1.2倍と、過去12年間の平均値から3.2%、22.2%のディスカウント水準にあるとした。また、H株指数の予想PER、PBRはそれぞれ8.2倍、0.9倍と、過去12年の平均値を24.1%、44.7%下回ることに言及している。