個人投資家は小型株で勝負すべし

──ここまで「優待バリュー投資術」について伺ってきましたが、最後に現在の主力銘柄について教えてください! 今現在、投資金額が多い上位5銘柄は?

 では5位からいきます。5位は住友倉庫の子会社で、東海、南関東を中心に総合物流を手掛ける「遠州トラック」です。ずいぶん前から「優待株いけす」に入れていたのですが、昨年7月にアマゾンの「デリバリープロバイダ (地域限定の配送業者)」に指定されました。それを機に業績が右肩上がりに伸びたため、J3に昇格させました。その後も絶好調なので、買い増しを続け、J2を通り越してJ1入りを果たしました。

膨大な銘柄を、主力のJ1、予備軍のJ2、順位はついているが待機のJ3に分ける、Jリーグ方式で管理している。J1~J3までで約65銘柄で、残りの600近くは“いけす”に入れておくだけ。この順位は市況につれてどんどん入れ替わり、いけすからJ1まであっという間に上り詰めた“出世魚”も複数いるという。最近の出世頭は現在J1、5位の遠州トラック。

──いけすから一気にJ1へと駆け上がった?

 たまにそういう銘柄もあります。チャンスを確実にものにするには思い切って勝負することも必要ですから。

──4位は?

 北関東をメインに食品スーパーを展開する「エコス」です。ここは数年前から経費削減や管理強化、店舗のスクラップ&ビルドや改装などに積極的に取り組んでいたのですが、ここにきてその成果が出始めています。以前とは見違えるような利益が出る筋肉質の体質に変貌しつつあるんです。それは株価にも反映されるだろうと考え、今年に入って大きく買い増ししました。

──次は3位です。

 不動産関連ビジネスを手掛ける「サンセイランディック」です。ここは権利関係が複雑な不動産(底地)を買い取り、関係調整したうえで再販するという独自のビジネスを展開しています。他社がすぐにはマネができないようなノウハウを持っているため、創業以来手堅い経営を続けています。しかも、このビジネスは相続に絡んで発生することが多いため、2015年の相続税増税以降、需要が急増しています。個人的には今後、大化けする可能性を秘めた銘柄だと考えています。

──今のところ、運輸、小売り、不動産と業種はバラバラですね。

 あまり業種にはこだわりません。それよりも時価総額の大きさを重要視します。時価総額の大きい大型株の場合、短期間で株価が2倍に上昇するようなことはそうそうありません。しかし、小型株だとちょっとした出来事で2倍、3倍に膨れ上がります。だから、小型株のほうが大きな利益を生みやすいんです。ただ、最近は投資金額が大きくなってきて、小型株だけだと取引きしにくいため、もうちょっと時価総額の大きい中型株に投資することが増えています。

──ともあれ、個人投資家には小型株が向いているのですね?

 はい、とくに投資資金が限られる人は小型株から始めることを勧めたいですね。