みきまるさんの勝負銘柄トップ5を公開
「優待バリュー投資術」という独自の手法で数億円の資産を築き上げたスゴ腕投資家、みきまるさんインタビュー後編をお届けします。今回は、みきまるさんが保有する675銘柄のなかの主力銘柄についてお伺いしました。
1銘柄で数千万円の損失を出したことも
──みきまるさんは保有株をJ1、J2、J3、「優待株いけす」の4つのグループに分けているなか、現在、J1、J2、J3を合わせると65銘柄ほどあるとのことですが、これらはつまり勝負銘柄ということですよね?
はい、それらの銘柄の出来によって収支が決定します。ただ、J1の銘柄とJ2の銘柄、J3の銘柄では投資金額がかなり異なります。J1、それも上位のトップ10くらいになると、相当な額を投資します。ですから、J1の上位数銘柄の出来で年間収支が決まるといっても過言ではありません。
──2009年から9年連続プラス収支を達成されています。そのころはJ1のなかの上位銘柄が好調だったのですか?
はい、J1最上位に置いていた銘柄にTOB(株式公開買付)がかかって株価が急騰するとか、いくつか幸運もありました。ただ、失敗もあります。例えば2016年にはブライダルビジネスを展開するエスクリという会社を最上位に置いていました。中期事業構想が速やかに進捗していて、この勢いならば国内のブライダル産業の頂点に立つのは時間の問題だろうと考えていました。それで強気に買い増ししたのですが、あるとき業績下方修正の発表があり、それを機に株価が急落したんです。このときは数千万円の損失を出しました。
──一夜にして数千万円失う。そういうときってどんな心境になるんですか…?
それはもう、絶望的な気分になりましたね。それまでもいろいろ失敗はしましたが、1銘柄で数千万円なくしたのは初めてだったので、とにかく精神的なダメージが大きかった。
──でも、立ち直った?
いけすの存在が大きかったんです。いけすがあるおかげで毎日のように優待が届くし、配当金も入ってくる。これがあるなら絶望することはないじゃないか、「数千万円なんてすぐに取り戻せるぜ!」という心境になれました。
──結局、2016年も年間収支はプラスだったわけですよね。
はい、エスクリ以外の上位銘柄はどれもよかったんです。それに助けられました。
個人投資家は小型株で勝負すべし
──ここまで「優待バリュー投資術」について伺ってきましたが、最後に現在の主力銘柄について教えてください! 今現在、投資金額が多い上位5銘柄は?
では5位からいきます。5位は住友倉庫の子会社で、東海、南関東を中心に総合物流を手掛ける「遠州トラック」です。ずいぶん前から「優待株いけす」に入れていたのですが、昨年7月にアマゾンの「デリバリープロバイダ (地域限定の配送業者)」に指定されました。それを機に業績が右肩上がりに伸びたため、J3に昇格させました。その後も絶好調なので、買い増しを続け、J2を通り越してJ1入りを果たしました。
──いけすから一気にJ1へと駆け上がった?
たまにそういう銘柄もあります。チャンスを確実にものにするには思い切って勝負することも必要ですから。
──4位は?
北関東をメインに食品スーパーを展開する「エコス」です。ここは数年前から経費削減や管理強化、店舗のスクラップ&ビルドや改装などに積極的に取り組んでいたのですが、ここにきてその成果が出始めています。以前とは見違えるような利益が出る筋肉質の体質に変貌しつつあるんです。それは株価にも反映されるだろうと考え、今年に入って大きく買い増ししました。
──次は3位です。
不動産関連ビジネスを手掛ける「サンセイランディック」です。ここは権利関係が複雑な不動産(底地)を買い取り、関係調整したうえで再販するという独自のビジネスを展開しています。他社がすぐにはマネができないようなノウハウを持っているため、創業以来手堅い経営を続けています。しかも、このビジネスは相続に絡んで発生することが多いため、2015年の相続税増税以降、需要が急増しています。個人的には今後、大化けする可能性を秘めた銘柄だと考えています。
──今のところ、運輸、小売り、不動産と業種はバラバラですね。
あまり業種にはこだわりません。それよりも時価総額の大きさを重要視します。時価総額の大きい大型株の場合、短期間で株価が2倍に上昇するようなことはそうそうありません。しかし、小型株だとちょっとした出来事で2倍、3倍に膨れ上がります。だから、小型株のほうが大きな利益を生みやすいんです。ただ、最近は投資金額が大きくなってきて、小型株だけだと取引きしにくいため、もうちょっと時価総額の大きい中型株に投資することが増えています。
──ともあれ、個人投資家には小型株が向いているのですね?
はい、とくに投資資金が限られる人は小型株から始めることを勧めたいですね。
投資は自己責任で行うこと
──次は2位です。
2位は、マンションデベロッパーの「プレサンスコーポレーション」です。ここも長い間、いけすに入っていたのですが、昨年J3に引き揚げ、今年一気にJ1の2位まで登りつめました。というのも今年5月に発表された決算内容および、今期の業績予想が素晴らしいものだったんです。
ところが、なぜか株価はいったん跳ねた後、暴落しました。不動産セクターは、リーマン・ショックのときの苦い記憶が残っているためか、あまり人気がありません。そのせいもあって決算後、暴落したと思われますが、この会社自体は2007年の上場以来、過去15年間、赤字が一度もないという優良企業であり、今も着実に成長を続けています。そこで今年2位に格上げしました。
──では、いよいよ1位です。
1位はここ3年間変わっていません。私にとっての不動の1位はパチスロ大手の「ユニバーサルエンターテインメント」です。この銘柄にこだわる理由は、同社がフィリピンで建設を進めている超巨大カジノリゾート「オカダマニラ」への期待です。2016年12月にソフトオープン(部分開業)したのですが、以来、3年近く経過するにもかかわらず、いまだ工事は完了していません。それだけ巨大な施設であり、すべて完成してフルオープンした際には世の中に大きなインパクトを与えると想像できます。
──当然、株価にも多大な影響を及ぼすだろうと期待しているのですね?
はい、それは間違いないでしょう。
──トップ5を挙げていただき、ありがとうございます。みきまるさんが675銘柄のなかから選んだ5銘柄ともなると、ちょっと買ってみたくなります。
いや、でも、それは少し待ってほしいですね。私はあらゆる資料やデータを分析したりしてこの5銘柄を選びましたが、それは私個人の見方に過ぎません。ほかの投資家が分析したら、まったく違う結果になるかもしれない。結局のところ、株価が上がるかどうかなんて、誰にも分からないんです。だから、他人の意見を鵜呑みにするのでなく、自分自身で考え、判断することが大事だと思います。
──結局、投資というのは自己責任でやるしかないんですね。
はい! 自己責任でやるからこそ、勝てばうれしい、負ければ真摯に反省し、学べます。投資未経験の方も、ぜひ勇気をもって一歩を踏み出してほしいですね。
──ありがとうございました。
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