最大の注目材料である米中閣僚級通商協議の進展は?

 今週、最大の注目材料である米中閣僚級通商協議が10~11日に開催されます。協議の結果次第ではFRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策にも影響を及ぼす可能性があるため、今年最後のヤマ場になるかもしれません。そしてレンジの上限である109円方向に上抜ける、あるいは下限である106円方向に下抜けるきっかけとなるかもしれません。

 トランプ米大統領の支持率は、ウクライナゲートに絡む弾劾調査で下がってきています。

 また、株も一時より勢いがないため、協議開催前のトランプ大統領は強気ですが、通商協議では強い姿勢で臨まないのではないかとも言われています。従って協議開催前から期待が高まるかもしれませんが、11日の結果を見るまではどのような状況になるのか分からず、注意してマーケットに臨む必要があります。

 もし、通商協議が合意に達すれば、世界経済のリスク要因が後退するため、今月末のFOMC(米連邦公開市場委員会)の利下げは見送られるのではないかとの見方が強くなり、「合意」と「利下げ期待の後退」によってドル高に勢いがつく可能性があります。

 一方で、部分合意や暫定合意は認めないとのスタンスも示しているため、物別れの可能性もあります。また、通商協議で香港の問題について「人権カード」を切ってくる可能性もあり、その場合、協議自体が進まないというシナリオも想定されます。協議物別れの場合、世界経済のリスク要因が払拭されず、不透明感が増したとの見方からFOMCでの利下げ期待は高まり、ドル売りが強まる可能性があります。

 つまり、10~11日の米中通商協議の結果次第では、米国金融政策の思惑が加わり、「合意と利下げ期待後退」によるドル高で109円を抜ける、あるいは、「協議決裂と利下げ期待」でドル安に動き、106円割れを目指す動きになるかもしれません。

 また、もし、制裁関税引き上げの先送りを含め、部分合意や暫定合意となれば、マーケットは中途半端な結果と捉え、一時的にポジティブに反応しても消化不良になる可能性があります。その場合、今年のドル/円はこのままレンジの中で動意の乏しい地合いで終わり、その場合はドル/円もユーロも史上最低の年間値幅になるかもしれません。