今週の予想
今週は、2万1,500~2万2,000円水準の中でのもみ合いを想定
今週は、買い材料と売り材料を考えた時、上値の重さを意識したもみ合いの展開となりそうです。
買い材料は、10月上旬開催予定の米中閣僚級通商協議への期待の高まり、米国経済は良好との見方をFRB(米連邦準備制度理事会)が維持している中での、9月米雇用統計など、主要経済指標の発表があります。
一方、売り材料は、米中通商協議中のトランプ米大統領のイレギュラー発言が気になるところ。また、先週末に報道された米国から中国への投資の禁止の可能性や、中国企業の米国市場上場廃止の検討が気になるところです。
その他、中東の地政学的リスクもあります。また、10月1日より消費税が10%に上がり、駆け込み需要後の消費の低迷も気になってきます。
過去、ブラックマンデー(1987年)、アジア通貨危機(1997年)、リーマン・ショック(2008年)とほぼ10年の周期で、10月に金融危機が発生してきたため、投資家心理としては、多少とも不安を感じる月となります。今週は、2万1,500~2万2,000円のレンジの中で、下限を試す場面があるかもしれません。
米中貿易戦争の帰結がもたらすものは?
先週末の報道で、気になる話が出ました。米国での対中投資制限の検討です。この報道が本当なら、ここへ来て、トランプ米政権の対中制裁がエスカレート。貿易摩擦のレベルを超えて、本格的な米中経済戦争に推移し、資本主義経済の市場から、中国を追放するという動きにも見えます。
特に、中国企業のニューヨーク証券取引所上場廃止検討(アリババは先週末5%を超える下落)は、中国への資金の流れを止めようとするものです。
なぜトランプは中国を標的にするのか?
この背景を20年前にさかのぼって説明します。
中国が豊かになれば民主化するという期待の元、2001年にWTO(世界貿易機関)に中国が加盟する前から、米国は中国に対し最恵国待遇を与えてきました。
ところが、WTOに加盟後の中国は、後進国の位置づけを利用して金を稼ぎました。例えば、中国政府は国営企業に補助金を出し、安い値段で製品を作り、海外市場を独占(特に米国市場への輸出)。
さらに、そのような国営企業が米国企業を買収して技術移転を迫り、知的財産権を盗むことをしてきました。WTOの規則違反を繰り返しながら、最恵国優遇を受け、さらには「中国こそ自由貿易の保護者だ」と主張し、民主化どころか、習近平国家主席の独裁化が進みました。
だからトランプ政権は、資本主義経済を利用して中国の一党独裁の社会主義の考え方を通そうとしている中国を敵国として資本主義経済の中から追放していく決心をしているようにも思えます。これはトランプ政権だけの考えではなく、米国議会(共和党、民主党)の決定でもあります。2019年の国防権限法ではファーウェイ排除が明記され、2020年には、さらに対中強硬策が盛り込まれることになっています。
危うい中国経済の実態
現在の中国経済の現状は、中国の家計債務は日本のバブル期なみに達した(2019年7月28日付日経新聞)と報じています。中国への資金の流れが止められると、バブルが弾ける懸念があるのが不動産であり、中国国内の不動産時価総額は65兆ドル(約7,310兆円)で、これは米国、EU(欧州連合)、日本のGDP(国内総生産)総合計約60兆ドルを超えています。
中国国内の投資用に購入されたマンションの空き室は500万戸(2018年11月9日付ブルームバーグ)とも言われています。なぜ、マンション価格の下落が起きないのかといえば、政府が不動産の売却を禁止しているからです。これは、一党独裁だからできることです。しかし、それも金(カネ)が続く間だけ。現在の米国の対中政策が続けば、どこかで中国大暴落が起こります。
NYダウのチャートで大暴落の予兆を捉える
2020年度はリーマン・ショック級の中国発大暴落が起きてもおかしくないと言えます。
NYダウ平均株価のチャートは、天井圏で三尊天井を作った後、しっかりして4像目の動きとなっていますが、天井圏で山(像)ができるほど下落したときは、大暴落となります。
中期的な見通しの中で一つのシナリオを提示しましたが、投資で財産を作ろうと思う人は、暴落を待って買うスタンスで報われます。それまでの間は休みか、それとも損切り基準を明確にして短期売買を繰り返す投資がいいと思われます。