予想値ではなく実績値のランキングではないか要確認
ランキングの中には、予想値ではなく実績値を用いているのもあるので注意が必要です。PBRについては実績値でいいのですが、PERや配当利回りを実績値でランキングしても、あまり意味がありません。あくまでも株価は将来予想される業績や配当金をもとに形成されるからです。すでに過ぎた結果については、基本的に株価には影響しません。
例えば、前期の業績が良かったものの、当期以降の業績が悪化することが予想されている銘柄の場合、前期の好業績をもとに計算したPERは、当期の予想をもとに計算したPERよりも低くなります。でも、投資家が見ているのは、すでに終わった前期の業績ではなく、当期以降の業績です。
前期の実績をベースにしたPERを見て、割安かどうか判断したとしても、他の投資家はその実績PERを銘柄選定の際の参考にしていないため、無意味になってしまうのです。
配当金についても、例えば前期に記念配当や特別配当があったり、業績悪化により当期以降の配当が減らされると予想されていたりする場合、前期ベースの配当利回りを使っても意味がありません。当期予想ベースの配当利回りで判断するようにしましょう。
そもそも割安でも株価が上昇するかどうかは別の話
そして、ランキング上位に掲載されている銘柄が本当に割安だったとしても、非常に重要な点があります。それは、「株価が割安でも、今後の株価が上昇するかどうかは分からない」ということです。
個人投資家の中には、株価が割安なら、今後、必ず株価が上昇する、と思っている方も少なくないようです。でもその考え方は正しくありません。
株価が上昇するのは、「買い手が売り手より多いから」です。例えば日経平均株価に新規に採用される銘柄の株価が上昇することがありますが、その理由は日経平均株価に採用されることで割安度が増すから、という理由ではありません。日経平均株価に連動する投資信託やETF(上場投資信託)を経由した買いの需要が増すからです。
確かに、株価が割安であれば、その銘柄を買いたいと思う投資家はいるでしょう。でも、日本株の最大のシェアを誇る外国人投資家や、投資信託を運用するファンドマネージャーが割安株にはあまり関心がなく、逆に成長株に関心があるならば、割安株に対する買い需要は膨らみません。
その結果、割安株が割安なまま放置されてしまったのが、2013年後半以降の日本株なのです。