FRBは原油上昇に影響される?

 今週は9月17~18日にFRB(米連邦準備制度理事会)と、18~19日に日銀の金融政策委員会があります。FRBは0.25%の利下げ、日銀は変更なしとの見方が大勢ですが、先週のECB後のユーロのように上下に振れる可能性があるため、注意が必要です。

 また、原油上昇という新たな要因が加わったことが、政策判断にどのように影響するかにも注目です。

 例えば、FRBが予想通り利下げをしても、パウエル議長が記者会見で、中東の地政学リスクや原油上昇によるインフレ上昇を警戒し、追加利下げについては様子見姿勢を示唆する発言をすれば、先週のユーロの動きのように利下げでドルが売られた後、急反発するという動きになることも予想されます。この場合、金利は上昇し、株は売られ、ドル高が予想されます。

 逆に、原油上昇の影響がインフレ懸念よりも景気減速懸念の方が上回るとFRBが判断すれば、パウエル議長は追加利下げについて、含みを残すかもしれません。そうなれば、先週反発した金利は低下し、株にはサポート材料となり、ドル安が予想されます。

 ただ、今回のECB理事会で追加緩和について抵抗が強かったように、FRB内でも反対意見が強いとマーケットが感じれば、逆の動きとなりそうです。

 また、サプライズのシナリオも想定されます。直近のインフレ指標がやや強い数字が出ていることから、もし、FRBがインフレを警戒して今回の利下げを見送れば、マーケットにとってサプライズとなり、金利・株・ドルの振幅はかなり大きくなることが予想されます。その場合はすかさず、トランプ米大統領からのFRB批判が発せられ、場合によっては、利下げを誘引するために米中暫定合意を後退させるかもしれません。

 17日、サウジのエネルギー相は、石油の生産能力は9月末までに元の水準に戻り、石油輸出量が減少することはないとの見通しを発表しました。この報道によって急騰した原油は下がりましたが、施設攻撃前より高い水準となっています。また、トランプ大統領はサウジの石油施設攻撃に対して、イランが関与していると批判したことから中東の地政学リスクが高まっています。今のところ、トランプ大統領は戦争を望まないと慎重姿勢のため、落ち着いた状況となっています。しかし、中東の地政学リスクについては引き続き警戒する必要がありそうです。