すっかり市民権を得た感のある「2,000万円問題」。老後の生活資金を自助努力で作るためにどうすべきか? 株式投資家としての視点から考えてみたいと思います。

老後生活資金の作り方は人それぞれ

 いわゆる2,000万円問題が世の中に知れ渡り、改めて多くの人が「自助努力」で老後の生活資金を作る必要性を感じたと思います。

 実際、証券会社の新規口座開設数や、iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)、つみたてNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)を始める人も大幅に増加しているようです。

 もし、投資や資産運用に抵抗があるのならば、貯金をしてコツコツ貯めていくことになるのでしょう。

 また、ファイナンシャルプランナーのアドバイスを受けて、iDeCoやつみたてNISAなどの税優遇制度を使いながら、積立長期分散投資を実行する、という方も少なくないでしょう。

 では筆者ならどうするか? 個別銘柄へ投資をして2,000万円といわず、「より多くの資金」を作ることを目指します。

あくまでも株価のトレンドに乗るのが原則

 前回「財政検証で長期投資のリスク?低成長でも資産を増やす方法」でも書きましたが、8月下旬に厚生労働省から出された公的年金の財政検証のデータからみても、これからの日本は低成長が続くと予想されます。もしかすると、マイナス成長となる可能性もあります。

 株価は長期的には経済成長に連動しますから、成長率が極めて低い状態で、株価だけが右肩上がりの長期上昇を遂げる可能性はかなり乏しいと言わざるを得ません。

 とはいえ、景気循環というものは必ずあります。それにより株価は大きく上下に波打ちます。また、バブル崩壊後は金融緩和で新たなバブルが発生し、株価が大きく上昇する可能性もあります。

 したがって、単に株を買ったら持ち続けるのではなく、株価が値上がりの波、つまり上昇トレンドの時のみ保有をし、値下がりの波、つまり下降トレンドになったら保有をしない、という「順張り投資」により利益を積み重ねるというのが現実的な手法と考えられます。