年金減少分の対策が必要

 財政検証のポイントを説明してきましたが、結局のところ所得代替率はセカンドライフを考えるうえでの1つの指標であり、将来的には現役時の生活水準の40%を公的年金で賄うぐらいの前提で、それ以外の手段をどう確保するか考えておくことが得策だと考えます。

 例えば、現役時に平均50万円の月額賃金の世帯なら、公的年金でおおよそ20万円を目安として、残り30万円をどう確保するかを検討する退職前後の世帯なら、できるだけ健康で居るうちは就労を継続し、退職後の生活支出を抑えるなどです。

 また若年世代なら配偶者も合わせて所得を増やすこと、そうすることで夫婦での公的年金の給付額も増やせます。また退職年齢をできるだけ先に見据えてスキルアップに取り組む、将来に向けて資産形成を行うなど、準備期間が長くあるため選択肢はより多くなります。

若年世帯ほど早めの準備を

 特に若年世帯にとっては、資産形成の選択肢として「iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)」や「つみたてNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)」など税優遇制度の活用は、ぜひ検討してください。

 30歳から毎月3万円を積立投資した場合、5%で運用したとすると65歳時点で3,325万円の資産が築けます。また、その資産を65歳以降も継続して3%で運用しながら取り崩す場合、毎月12万円ずつ35年間受け取ることができます。

 これは、平均50万円の月額賃金の人の場合、24%分の所得代替率が確保できます。さらに夫婦二人でそれぞれが積立投資した場合は、かなり大きな金額になります。加えて夫婦での所得の複線化と退職時期の延伸とのあわせ技を使えば所得代替率のかなりの部分をカバーできるようになります。

60歳以降の働き方も考える

 従来、セカンドライフというと60歳で会社を定年して年金生活を送るという画一化されたイメージがありましたが、現在は60歳といってもまだまだ元気で社会で活躍したいと考えている方が多いのではないでしょうか?

「60歳からは、セカンドライフ」と画一的に捉えるのではなく、公的年金は老後生活の最低限を守ってくれるセーフティネットとして捉え、その上乗せは十人十色でご自身がどんな生活を送りたいかで準備していくといったポジティブな思考を持つことが大切です。

 そのためにも、一定年齢でセカンドライフと線引きするのではなく、人生を通じた期間全体をどうやり繰りするか計画を立てるのが人生100年時代の生存戦略なのかもしれません。あらためて公的年金は社会保障制度である点を理解し、過度な依存を拭い去ったうえで、しっかり準備をしていきましょう。

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