世界の円買いリスクをチェック

 8月はこれまでのところ4円近くの変動幅がありました。とりあえず、円高が一服したとはいえ、円の買い材料が後を絶たない状況が続いています。

 その円買い材料とは、香港デモ、アルゼンチン危機、イタリア政局、Brexit(英国のEU[欧州連合]離脱)、印パ情勢、中東情勢など、さまざまな政治リスクや地政学的リスクに加え、米中貿易協議の行方、日米通商協議、米国の長短金利逆転が示唆する景気後退リスクなど、まだまだマーケットでは消化されていない材料として残っています。

 このように未消化の材料が多い相場環境のため、今週のドル/円は、反発が続いても勢いは乏しいかもしれません。

 今月はFOMC(米連邦公開市場委員会)がないため、23日のジャクソンホールでのFRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長講演が注目されています。

 マーケットでは9月利下げはかなり織り込まれていますが、まだFOMCまで1カ月あることから、講演では9月利下げを強く示唆するメッセージは避ける可能性も想定されるため、注意する必要があります。

 また、政治リスクでは香港のデモ騒動に特に注目しています。

 事の成り行きによっては、米中の対立が激しくなり、貿易協議どころではない状況になるかもしれません。9月11~12日には香港で「一帯一路サミット」が開催予定です。それまでに事態が収拾していなければ、習近平中国国家主席が主催するサミットの日程が近づくにつれ、緊張が高まり、マーケットの警戒心が高まってくる可能性があるため、注意が必要です。