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 8月14日に米国債市場で、一時、長期金利の指標となる10年国債利回りが2年国債利回りを下回り、長短金利が逆転する『逆イールド』が発生しました。10年と2年の国債の『逆イールド』は、90年以降で過去3回あった景気後退局面の全てで概ね2年前に発生していることから、景気後退の予兆とされます。ただし、実際に米国が景気後退に突入するかを判断するには、実体経済の動向についても注目する必要がありそうです。

 

【ポイント1】米国債の長短金利の逆転が進む

米株式市場は『逆イールド』を嫌気して大幅下落、為替は円高が進行

 債券の満期までの残存期間と債券の利回りの関係を表したものを利回り曲線(イールドカーブ)といいます。通常は長期金利が短期金利を上回ることが多く、イールドカーブは右上がりの曲線となりますが、まれに長期金利が短期金利を下回る『逆イールド』となることがあります。

 8月14日の米国債市場では、一時、10年国債利回りが2年国債利回りを下回る『逆イールド』が起きました。同日に発表された中国やドイツの経済指標が弱い結果となり、残存期間が長めの債券を中心に利回りを押し下げたとみられます。市場の注目度が高い10年と2年の国債の『逆イールド』化は2007年以来となります。

『逆イールド』は一般に、先行きの景気後退を示唆する予兆とされることから、市場ではリスク回避的な動きが強まりました。14日のダウ工業株30種平均は前日比800ドル超下落し、円が対ドルなどで上昇しました。

 

【ポイント2】『逆イールド』は景気後退を示唆

過去は概ね2年後に景気後退へ

『逆イールド』は景気後退の予兆とされます。米国では直近、過去3回、10年と2年の国債利回りの『逆イールド』化の概ね2年後に景気後退に陥っています。

『逆イールド』になると、銀行は貸出金利と預金金利の差の利ざやを取りにくくなり、貸し出しを抑制します。これが企業の倒産を増加させ、景気後退につながるともいわれています。

 

【今後の展開】景気後退期入りを判断するには、実体経済の動向にも注目する必要

 米中貿易摩擦の悪影響などが指摘されているものの、米国景気自体は底堅く推移しています。4-6月期の実質GDP成長率は前期比年率+2.1%となったほか、7月の失業率は3.7%と低水準を維持しています。

 世界的な金融緩和などで残存期間の長い債券の利回りが人為的に抑制されている環境下、景気予測の指標としての『逆イールド』の有効性については、懐疑的な意見もみられます。実際に米国が景気後退に突入するかを判断するに当たっては、『逆イールド』の程度や持続性に加えて、今のところは底堅く推移している実体経済の動向を慎重に見極める必要がありそうです。