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『エルニーニョ現象』とは、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけての海面水温が平年より高くなり、その状態が1年程度続く現象を言います。『エルニーニョ現象』が起こった年は異常気象になりやすく、日本では一般的に「冷夏・暖冬」になりやすいと言われています。冷夏による夏物商品の売れ行きの低下や、消費マインド低下など影響が心配されるため、その動向が注目されます。
【ポイント1】『エルニーニョ現象』発生時は世界的に異常気象になりやすい
『エルニーニョ現象』とは、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年より高くなり、その状態が1年程度続く現象です。逆に、同じ海域で海面水温が平年より低い状態が続く現象は「ラニーニャ現象」と呼ばれ、それぞれ数年おきに発生します。『エルニーニョ現象』や「ラニーニャ現象」が発生すると、亜熱帯高気圧の位置や強さが変わるため、世界中で異常な天候が起こると考えられています。
【ポイント2】日本では「冷夏・暖冬」になりやすい
気象庁では、エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差の5カ月移動平均値が6カ月以上続けて0.5℃以上になった場合を『エルニーニョ現象』と定義しています。
『エルニーニョ現象』が起こると、日本では一般的に「冷夏・暖冬」になりやすいと言われています。冷夏により夏物商品の売れ行きが悪くなるなど家計消費に影響をもたらすと考えられます。90年以降の全期間で景気後退期だった割合は約2割程度でした。一方、『エルニーニョ現象』発生期間に限れば約4割と、約2倍の確率で景気後退期にあたりました。『エルニーニョ現象』発生による家計消費の低迷が景気を下押しした可能性があります。
【今後の展開】2018年秋からの『エルニーニョ現象』は終息、消費回復に期待
気象庁は、7月10日の「エルニーニョ監視速報」で、「2018年の秋ごろから発生していた『エルニーニョ現象』が終息したとみられる」とし、「今秋にかけて平常の状態が続く確率が高い」と発表しました。今年は梅雨明けが各地で平年より1~2週間程度遅くなるなど、長梅雨の影響もあり、夏場の消費低迷が懸念されていました。「景気ウォッチャー調査」7月調査でも、長雨の影響が人々の消費マインドを下押ししていたことがわかります。
しかし、梅雨明け以降から8月にかけては、『エルニーニョ現象』終息とともに、日本各地で真夏日や猛暑日が続くなど、「暑い夏」が到来しています。足元では消費増税前の値上げなどにより消費マインドは低下傾向にありますが、天候の回復とともに消費が上向くことが期待されます。