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 米中貿易摩擦激化などによる世界的な景気減速懸念を背景に世界最大市場の中国でも自動車販売が低迷していますが、品質などが評価されて日本車の販売は好調を維持しています。こうしたなか、中国の工業情報化省は、ハイブリッド車(『HV』)に優位となるとみられる環境規制の見直しの修正案を公表しました。この見直しはトヨタ自動車、ホンダなど『HV』で優位にある日本企業の追い風となるとみられており、注目されます。

 

【ポイント1】中国での日本企業の新車販売台数は好調

 中国での7月の新車販売台数はトヨタは前年同月比8.3%増、ホンダは同9.4%増となり、いずれも7月として過去最高を更新しました。トヨタが前年同月の実績を上回るのは17カ月連続となります。主力セダン「カムリ」が好調、高級車ブランド「レクサス」も堅調でした。ホンダも5カ月連続で前年実績を上回りました。中国市場全体がマイナス成長となるなか、両社は燃費性能などで高い評価を受けたことなどが販売増につながったとみられます。今後は『HV』に有利となるとみられる中国での環境規制の見直しの動きが追い風になっていくと考えられます。

 

【ポイント2】中国での『HV』の見直しはトヨタなどに追い風

 中国では「新エネルギー車(NEV)規制」が2019年から始まり、自動車メーカーは、中国での生産台数の一定比率を電気自動車(EV)などの新エネルギー車とするよう義務づけられています。こうしたなか今年7月に中国工業情報化省が環境規制に対する修正案を公表しました。現地報道によれば、ガソリン車と同等としてきた『HV』が「低燃費車」とみなされるようになるため、『HV』を生産すれば、普及に限界のある新エネルギー車の生産が少なくて済む内容となっています。

 この修正案が決定されれば、『HV』の魅力が増すため、『HV』に強いトヨタやホンダには追い風になるとみられます。特に『HV』技術や販売で先行し、4月に『HV』の特許の無償開放を発表したトヨタは中長期的に恩恵が大きいと考えられます。

 

【今後の展開】中国市場での日本企業のシェア拡大に期待

 自動車最大市場の中国では、日本企業が高い競争力とシェアを持つ米国と異なり、独フォルクスワーゲンが先行してきました。同社はEVに集中する戦略をとっており、『HV』が「低燃費車」とみなされた場合、トヨタ、ホンダなどに大きな商機となる可能性があり、中国でのシェア拡大の可能性が高まると期待されます。

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。