米中貿易摩擦からの「漁夫の利」と構造改革期待
米国の金融緩和と債券市場利回りの低位安定は、総じて新興国市場の堅調要因と言えます。そうした中ブラジルは「貿易摩擦から漁夫の利を得やすい」との指摘があります。
米中の貿易摩擦が激化し、互いの輸入品に関税を掛け合う報復合戦に突入して約一年が経とうとしています。貿易摩擦では、中国のみならず北東アジア(日本、韓国、台湾)が経済的影響を被っており、米国でも企業や一般市民に影響が及びつつあります。こうした状況下、漁夫の利を得そうな国として、木材や穀物の対中輸出が増加しているカナダや、大豆を中心とする対中穀物輸出が増加しやすいブラジルが挙げられています。
ブラジルでは、2018年10月に実施された大統領選挙で、ジャイル・ボルソナロ氏(右派・社会自由党)が勝利。約13年続いた労働党を中心とする左派政権が終焉しました。世界の経済成長が減速していることで、同国の景況感も停滞していますが、ボルソナロ大統領は財政再建、年金改革、民営化推進などの構造改革を進めつつあります。
ブラジル市場では構造改革の長期的な効果を期待し、株式市場は高値を更新する堅調を維持。通貨レアルも比較的底堅い動きとなっています。
図表2でみる通り、ボベスパ指数ベースの業績見通し(予想EPSの市場予想平均)は、2019年も2020年も二桁増益が見込まれています。経済面で構造改革の余地が大きいブラジルは、金融市場での評価が高まりやすい状況となっています。
図表2:ブラジル市場の業績動向(実績と予想)