FRBの利下げでブラジル株の堅調は続くか
FRB(米連邦準備制度理事会)は今週開催したFOMC(連邦公開市場委員会)で、2008年12月以来約10年半ぶりとなる利下げを決定しました(7月31日)。パウエルFRB議長は記者会見で、「世界経済の成長鈍化や貿易摩擦による景気減速リスクに備えた予防的な利下げ」と述べましたが、質疑応答で長期緩和サイクルの開始を否定したため、追加利下げを期待していた投資家による売りで米国株は下落しました。
トランプ米大統領はツイッターで「いつも通りパウエル議長は私たちを失望させた」と批判。同大統領が、米中貿易交渉の早期進展に否定的な見解を示していたこともあり、市場心理はややリスクオフ(回避)に転じました。ただ、米国の債券市場利回りが反発したことで、為替がドル高・円安に転じたことが日本株式を下支える要因となっています(8月1日)。
一方、7月31日はブラジル中央銀行も自国景気の下支えを目的に、政策金利を6.5%から6.0%へ、0.5%引き下げることを発表しました。こちらの利下げ幅は事前の市場予想平均(0.25%)を上回りました。
図表1は、2015年以降のブラジル株式(ボベスパ指数)のパフォーマンスを米国株式(S&P500指数)や日本株式(TOPIX)と比較したものです。
2016年以降、ブラジル株式は毎年上昇。2018年に続いて今年も最高値を更新し、米国や日本の市場より優勢となっています。同国で昨年10月に実施された大統領選挙の結果を受け、構造改革の期待が高まっていることが主因です。
図表1:ブラジル株式の優勢に注目