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 建設機械(建機)は、パワーショベル、ブルドーザー等の掘削機械、ダンプトラック(ダンプカー)等の建設や鉱山工事などで多様な作業に使用される機械の総称です。建機大手の米キャタピラーとコマツは深刻な人手不足への対応や中国企業の台頭により競争が激化している低価格建機との差別化を図るため、『無人建機』の開発を加速しています。商用化の時期も近づいている両社の動向を中心に最近の状況を紹介します。

 

【ポイント1】人手不足や差別化を図るため『無人建機』の開発を加速

 建機は、米キャタピラー、コマツがそれぞれ10%以上のシェアを握り、収益率も高く世界2強体制が続いてきました。ただ、ここにきて建機市場は旺盛なインフラ投資を背景に人手不足が顕在化したり、中国市場では地元企業が低価格攻勢で販売を拡大するなど競争の激化も目立ってきています。こうした事態に対応するため両社をはじめ建機各社は、『無人建機』の開発を加速しており、商用化の時期も近づいています。

 

【ポイント2】大手2社は『無人建機』の商用化で先行

 コマツはデジタル技術の活用で先行してきました。1999年に全地球測位システム(GPS)などを使い建機の稼働状況を遠隔監視できる「コムトラックス」を自社建機に搭載しました。このシステムを部品の故障検知に活用することで、故障に伴う稼働ロスを最小化しました。また今年中には人工知能(AI)を活用して、周囲の状況を画像で認識し、土砂の積み込みや進行・停止を自律して考えて判断する『無人建機』の実証を始め、2021年の商用化を目指しています。

 キャタピラージャパンは今年7月に大成建設と共同で開発中の次世代油圧ショベルでの無人化施工技術を公開しました。センサーでダンプトラックとの距離を把握しながら、土を積み込みます。建設現場での実証などを経て、商用化は2021年以降になりそうです。また将来的にはAIを活用した無人化施工技術の確立を目指します。

 

【今後の展開】『無人建機』の商用化が近づく

 建機需要拡大や低価格帯での価格競争が続くとみられる中で、建機大手などは高い利益率を維持していくには『無人建機』が鍵とみて開発を一段と加速する方向にあります。また自動運転車などは対向車や歩行者への対処など克服すべき課題が多く開発に時間を要するとみられているの対して、『無人建機』は建設や鉱山など作業場所が限定されることなどから商用化の時期は近いとみられています。

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。