2020年以降のリスクに備えるステージ

 しかし、景気はやはり「成熟」局面です。労働市場はほぼ完全雇用で、伸び代が限られます。あくまで「成熟」局面がどう長らえるかを注視するのみで、新しい上昇サイクルを期待すべきステージではないと判断されます。

 景気の再浮揚と株高がしばらく続けば、FRBの次の一手は利下げでなく利上げかという声も出た途端、利下げを織り込んだ株高は頭を打たれるでしょう。政策対応にもかかわらず、企業景況感が盛り上がらないままなら、自ずと景気も株価もだれてきます。

 トランプ政権は2020年の大統領選挙まで景気と株価を支える戦術を工夫するでしょう。しかし、債券市場は逆イールド(長短金利差のマイナス化)となり、2020~2021年の景気悪化シグナルを出しています(図2)。景気も株価も、しばらく上を向いても伸び代は限られ、下振れの余地は大きいという状況です。

 景況・市況の悪化で、ドル/円は下落し、日本株の劣勢が強まると見る外国人は、このところずっと日本株を売り越してきました。予言のような相場予測の術は存在しませんが、その分、相場が韻を踏むことを理解し、黄信号点滅のリスクにきちんと対応することが大切です。

図2:逆イールドが示唆する米景気後退

出所:Bloomberg Finance L.P.

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