2008年リーマン・ショックで振り返る日本への教訓

 図2で、2008年の景気「下降」からの日本株、米国株、ドル/円の展開を見てみましょう。

図2:米・日株価とドル/円の巡り合わせ

出所:Bloomberg Finance L.P.

 この時、米国は金融危機で景気が急速に悪化しました。米国当局はたたみ掛けるように財政・金融政策を発動し、景気を腕力で支えます。

 その結果、景気は2009年第2四半期に底入れしますが、同年3月上旬から、米国株主要指数のS&P500は先行して急反発しました。

 通常の景気サイクルなら、株価は景気の底の数カ月前に反発します。FRBは、景気の底から半年~1年は金融緩和を続け、その間、ドルは対円で軟調です。さらに米国利上げ後のドル/円はもう一段下落しがちでした。

 利上げを嫌って、米国株が金融相場を終え、債券は価格下落(金利上昇)が本格化し、海外マネーの対米流入が滞ることによるドル安です。

 2009年以降の米国経済は、通常のサイクルと異なる事態に見舞われました。金融危機後の債務の後処理という苦難が何年も続いたのです。これを対処するため、FRBはほぼゼロ金利まで利下げし、それでも足りず、量的緩和を推し進めました。

 米国金融緩和が嵩(こう)じる中、ドル/円は2012年まで下落基調をたどります。金融危機で深手を負った米国の株価が上昇しても、その後も続く円高によって、日本株の低迷が続いてしまいます。

 日本の投資家への教訓は明白です。
 まず、日本人が円で金融相場の米国株に投資するときは、円高による為替リスクを考量する必要があります。それ以上に、日本の株価は為替次第の部分が大きく、ドル/円相場のロジックを踏まえることが、いかに重要かということです。