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中国国家統計局は毎月、主要70都市の新築住宅価格動向を発表しています。この統計は、各都市別の『住宅価格』が指数で公表されます。2019年6月は前月より『住宅価格』の上昇率が鈍化しました。米中貿易摩擦の影響などから景気センチメントに改善はみられないものの、大都市を中心にサービス業での旺盛な労働需要があるため、労働力の移動を背景とした住宅需要が続き、『住宅価格』を支えることが見込まれます。
【ポイント1】6月は『住宅価格』の伸びが鈍化
4大都市は上昇率が鈍化
中国国家統計局が7月15日に発表した2019年6月の「主要70都市新築住宅価格動向」によると、主要70都市のうち、『住宅価格』が前月比で上昇したのは63都市と、5月の67都市から4つ減りました。
6月の70都市の新築『住宅価格』(一人当たり所得で加重平均)は前月比+0.65%と、前月(同+0.70%)から伸びが鈍化しました。4大都市(北京、上海、広州、深セン)は前月比+0.29%だった一方で、4大都市に次いで2級都市に分類される地方都市では同+0.76%となっており、地方の住宅市況は安定して伸びています。
【ポイント2】政府の不動産価格抑制策が背景
購入規制や住宅ローン引き上げを指示
『住宅価格』の伸びが鈍化した背景には、政府の住宅規制があります。中国共産党は過剰債務の圧縮・管理と景気安定を重視しています。
この2カ月、住宅に関する規制が強化され、主要都市の一部では、銀行に対する住宅ローン金利の引き上げ指示や、投機対策として投資用不動産の購入規制の強化などが報じられています。
【今後の展開】景気センチメントに当面、改善はみられないものの大都市を中心に『住宅価格』は安定推移へ
同日発表された中国の4-6月期実質GDP成長率は、市場予想通り前年同期比+6.2%と、前期(同+6.4%)から鈍化しました。米中貿易協議への不透明感は根強く、両国が明確に合意しない限り景気センチメントはなかなか改善しないとみられます。
中国共産党は経済指標が上振れれば規制強化、下振れれば緩和する政策を維持すると思われます。景気対策によって6%近辺の成長率維持は可能な状況であるため、景気悪化によって『住宅価格』が下落しても小幅にとどまり、金融緩和観測が広がれば『住宅価格』は上昇に転じるとみられます。また、都市化政策や戸籍制度の緩和が進められており、大都市中心にサービス業での旺盛な労働需要があるため、労働力の移動を背景とした住宅需要が続くとみられます。