ポイント2:営業キャッシュフローがプラスか?
「危ない会社」を除くために注目していただきたいのは、CF(キャッシュフロー)。ここにもポイントがあります。
まず営業キャッシュフローがプラスで、ちゃんと現金収入があることが大切です。
そして「利益の質」に注意してください。決算上の利益とキャッシュフローの差をアクルーアル(会計発生高)といいますが、継続的に純利益が営業キャッシュフローより大きい会社には気をつける必要があります。
正確に言えばアクルーアルは、“特別損益を除いた税引き後利益と、営業キャッシュフロー”を比べますが、継続的に税引き後利益の方が大きい場合は、「利益の質」を確かめなければなりません。1年くらいであれば、たまたま何かの要因で増えてしまうこともありますが、3年以上など連続していると、現金回収がうまくいっていないのでは?と疑問がわきます。
例えばRIZAPグループ(2928)の最近の会計上の利益の拡大には、のれん益が寄与していました。すると、実際は税引き後利益が大きく伸びる一方で、営業キャッシュフローでは、それほど稼げていないという状態が続いていました。
会社の倒産は、資金繰りが行き詰まる結果として起きます。ちゃんと現金収入があって運転資金に問題がないか、まず営業キャッシュフローを見て確認することは、習慣として身につけると良いと思います。
さらに、営業キャッシュフロー、投資キャッシュフロー、財務キャッシュフローを比べれば、会社の成長段階が分かります。
1.例えば営業キャッシュフローが黒字で、投資キャッシュフローがマイナスの場合、設備投資などを積極的にしている可能性が考えられます。その場合、投資キャッシュフローが営業キャッシュフローの範囲内に収まっているかもポイントです。仮に超えている場合は、「過大投資ではないか?」と注意する必要があります。
2.投資キャッシュフローがプラスの場合は、「資産売却」でプラスになっているケースが多くあります。かつ、財務キャッシュフローがマイナスなら、資産をスリム化して借入金の返済を優先していることが考えられます。
3.また、投資キャッシュフローがプラスで、かつ、財務キャッシュフローもプラスで借入金を増やしているなら、将来M&Aや設備投資など、大きな資金需要が発生する可能性があると予測できます。
――キャッシュフローが大切なポイントだ、とよく分かりました。でも、初心者が見てもパッと簡単に分かるものでしょうか(涙目)。
大丈夫です! 四季報では、財務情報の「キャッシュフロー」で一覧できるので、営業・投資・財務それぞれのキャッシュフローが分かります。
単純に「営業キャッシュフローがプラスかマイナスか」。これはパッと見て分かりやすい指標だと思いますので、まず注目している会社の情報をチェックしてみてください。