依然として手詰まり感の強い東京市場
東京市場は引き続き、「米中貿易摩擦」を主因に、見送り気分、手詰まり感の強い展開が続いています。もちろん、状況好転を示唆するニュースなどを背景に小反発局面はあるものの、多くの投資家の「懐疑」が消失するまでには至っておらず、「問題は長期化する」との見方がコンセンサスとして定着しているように感じられます。
米国に要求を突き付けられる側となっている中国も、習近平国家主席が「今こそ新たな『長征』に出なければならない」(5月20日)と発言、問題の長期化を裏付ける形です。
「長征」とは、1930年代に国民党軍と戦っていた中国共産党軍が拠点の江西省瑞金を放棄。約2年の歳月をかけ1万2,500kmを移動し、陝西省延安まで行軍したことを指します。
多くの犠牲を払い、形勢不利の中でも持久戦に切り替えて耐え忍んだことが、その後、反転攻勢のきっかけとなったとされ、「長征」の中で毛沢東(のちの国家主席)は中国共産党における指導権を確立していきました。
「高配当利回り」銘柄の選別。注意点は?
手詰まり感が強い株式市場の中であっても、投資家はそのときに有利と思われる考え方を用い、投資すべき銘柄を選択していきます。この動きがなくなることはありません。
米中貿易摩擦の影響をあまり受けないと思われる「内需株」の中に年初来高値を更新する銘柄が多いことからもそれが分かります。
他方、手詰まり感が強まったときに急浮上する銘柄選択の指針として「高配当利回り」があります。配当利回りとは1株当たりの予想年間配当金を、現在の株価で割って求めるものです。
大きな指針として、東証1部上場銘柄全体の予想配当利回りが長期金利を上回っていれば「現在の株価は割安」と判断することもできますが、現在のような長期の低金利局面では一概にそれだけで判断するのは難しいようにも思います。
手詰まり感が強いときに配当利回りが着目される背景には、上場企業が剰余金の配当を減少させる(減配)リスクはあるものの、配当金の方が株価値上がり益よりも確実性が高いと判断されることがあります。
ただし、株価の上下動は数日間で数%ということはザラにあり、悪いケースでは配当分を吹き飛ばすこともあります(配当金に変化がなくとも、株価の値下がりによって相殺されてしまうケース)。
高配当利回り株の中には、株価が急激な値下がりをしたことで結果的に高配当利回りになったものも多いことを知っておかなければならないでしょう。