世の中のニーズにマッチ!人気ファンドの仲間の入りを果たす

「1つにはタイミングの問題もあったと思います」

 前出・大野さんはこう振り返る。

「ちょうどリーマン・ショックの直後で、人々が投資に対して慎重になっている時期でした。バランスファンドは個別株に比べたら手に取りやすい商品ではありますが、それでも厳しかった」

 認知度が低いなら大量に広告を打つところだが、投資信託の場合、実はそれが難しい。一般に投資信託は販売会社様を通じて販売を行うため、広告そのものが販売に直決しないこともあり、販売会社の商品への理解と顧客の理解の両方があって、投資につながることから、単純に広告では伝えきれない側面がある。

 投資環境の悪化が続いていた3~4年の後、変化が生じる。

 顧客から好意的な声が聞かれるようになり、ジワジワと販売額が伸びてきたのだ。また、顧客からの要望で「株式シフト型」と「債券シフト型」を加えた頃から、販売額のペースは一気に上がる。瞬く間に人気ファンドの仲間入りを果たした。

 現在、いちばん最初にリリースされた株式50%債券50%タイプの純資産残高は580億円。これは同社のインデックスファンドの中では「SMTインデックスシリーズ」の一番の売れ筋である「SMT グローバル株式インデックス・オープン」(純資産総額660億円)に次ぐ規模だ。

 しかし、当初苦戦していたにもかかわらず、なぜ人気ファンドへと成長を遂げたのか。大野さんは「世の中のニーズにマッチしたのだと思います」と話す。

「ここ数年、若い世代を中心に投資に対する関心が急速に高まりつつあります。とりわけ長期投資、積立投資といった言葉が盛んに取り沙汰されるようになりました。つまり、若い頃からコツコツと積み立てを続けて資産を形成するという動きが広まってきたのです。そうした人たちは長期投資にふさわしい商品を求めていたわけで、このファンドがニーズにピッタリはまったのだと思います」

 通常、バランスファンドはファンドマネージャーが日本株に70%、外国株に30%などと配分を決めるが、このファンドは前述したように各地域のGDPシェアに基づいて投資比率を決められる。つまり、人が決めるのでなく、世界経済の趨勢(すうせい)に合わせて決定されるので、この点が分かりやすくていいという声も多かったという。

 また、最初の数年間は1万1,000円から1万4,000円の間で推移していた基準価額も2013年頃から上昇気流に乗り、2015年には2万円を突破。これも顧客の購入意欲を後押しした。

 こうして人々の商品に対する認知度が高まる中、同社は販売チャネルの拡大にも着手する。結果、多くのネット証券が扱うようになり、一気に人気に火がついた。