本日の注目通貨
ドル/円: リスクオンで一時108円台へ
27日(木曜日)の東京マーケットでドル/円は上昇。
米国と中国が通商協議再開に向けて「貿易戦争を停戦」のニュースが伝わると、ドル/円は5営業日ぶりとなる108円台にのせ、108.16円まで上値を伸ばしました。ただその後は失速して、NY時間にはこの日の安値圏である107.65円前後に後退。終値は前日と同レベルの107.78円でした。
G20を前に下限(106.78円)と上限(108.16円)を確認したので、あとはどちらをブレークしていくか、ということです。米中貿易交渉には悪い結果は起きないでしょうが、両首脳の直接会談以上の成果もないと考えます。事務レベルでの協議は止まっているので、具体的な内容は出ようがありません。イベント首相で売り、という可能性もあります。G20後は再び「FRB(米連邦準備制度理事会)利下げ」がテーマになるでしょう。
ブラード・セントルイス連銀総裁が、7月のFOMCで「50bp(ベーシスポイント)の利下げは必要ない」との見解を示しました。FOMCの中で最も利下げ支持派(ハト派)の同氏がこのような発言をしたことは重要で、利下げは25bpにとりあえず落ち着いています。
ブラード氏はFRBの中でも異端の意見を持つ人物で、必ずしもFRBの公式見解・意見・見解を代表しているわけではないのですが、50bpが基準になってしまうと、25では失望、50でも思ったほどの効果がでないことをFRBは心配しているわけで、今のうちにマーケットの熱を冷ましておきたかったのでしょう。
ブラード氏が「7月のFOMCで50bpの利下げは必要ない」と述べたとき、マーケットの目は切り下げ幅ばかりに向いまししたが、7月利下げ予告をさらっとマーケットに刷り込んだところは、一流マジシャンのようなFRBの巧み技だと思ってしましました。
豪ドル/円:豪ドル高はG20の期待を表す
豪ドル/円は堅調。今週74.33円まで下げた豪ドル/円は、この日75.62円まで反発しました。リスクオンでドル高に動くなかでも、豪ドルが上昇しているのは、G20(米中貿易協議)に対する期待の表れだと見ることができます。豪ドルは世界景気動向に敏感な通貨であり、特に関わりの深い中国経済に連動しやすいからです。