5月の新車販売は16%減、補助金削減で頼みの新エネ車も急減速

  中国汽車工業協会(CAAM)によると、5月の新車販売数(卸売り)は前年同月比16.4%減と4月の14.6%減からさらに下げ幅を広げた。乗用車が17.4%減(4月は17.7%減)と引き続き低調。一方、乗用車市場信息聯席会(CPCA)の統計では、乗用車の小売販売数は5月に前年同月比12.5%減と卸売りレベルより減少率は小幅。BOCIは新たな排ガス基準の導入に伴い、「国5」仕様モデルの在庫削減を急ぐメーカー各社が5月に強力な販促活動を実施し、新車市況に一定の影響が及んだとの見方だ。当局は7月1日付で、まずは18省・市において新排ガス基準「国6」を先行導入する予定となっている。

 商用車に目を向けると、5月の新車販売は前年同月比11.8%減。4月の0.1%増から、一転して2桁減となった。トラック販売が4月の1.0%増から9.9%減に悪化したことが響いた形。ほかに新エネルギー車部門の減速を受け、バス販売も25.7%減少した。

 1-5月の累計では、新車販売は前年同期比13.0%減の1,030万台で、乗用車が15.2%減、商用車が1.3%減。乗用車はセダン、MPV、SUVがそれぞれ13.4%減、23.9%減、15.7%減と総崩れの様相だった。商用車では、軽トラックが2.7%の伸びを確保し、トラック全体で0.5%の小幅減。バスは8.8%減だった。

 新車販売をブランド別に見ると、アウトパフォームが鮮明なのは日系車種で、5月は前年同月比1.9%増。特に「ホンダ」が好調で、広汽ホンダが25.1%増、東風ホンダが13.1%増を記録した。ドイツ系も高級車の好調を背景に、5.3%の減少率に踏みとどまった。その半面、米国、韓国、フランス系はそれぞれ20.4%減、33.8%減、69.2%減と不調。また、中国の国産ブランド28.1%の落ち込みを示した。

 5月の統計で注目されるのは、新エネルギー車販売の急減速。4月の前年同月比18.1%増から、1.8%増に鈍化した。補助金削減に伴う新エネ商用車販売の落ち込みが響いた格好。乗用車の同15.0%増に対し、商用車は53.7%減だった。中国では6月25日の猶予期間終了に伴い、新エネ車補助金の削減が実施される運び。BOCIはこれに伴い、メーカーの生産コスト削減圧力が高まるとともに、各社が補助金削減分の一部価格転嫁に動くと予想。その結果、ICE車(主にガソリン車)と新エネ車との価格差がさらに広がり、下期の新エネ車販売にマイナス影響が及ぶとみている。

 一方、5月には「国5」モデルの販促強化が一部のエンドユーザー需要を喚起し、在庫増大圧力がやや緩和。中国汽車流通協会(CADA)が集計しているディーラーレベルの在庫係数は5月末に1.65と、前月の2.00から改善した。続く6月の新車販売は例年やや低調だが、BOCIは5月と同様に「国5」販促効果を予想している。その後、7月には季節要因や5-6月の前倒し販売による反動で、小売販売が再び悪化するとの見方。8-9月のピークシーズンの持ち直しを見込んでいる。