インドの成長期待が高まっている理由を知る

 インドの経済成長については、2018年に続いて2019年、2020年、2021年も実質GDP成長率(前年比)が+7%台を維持する見通しで、先進国はもちろん他主要新興国の成長率を凌いでいくと見込まれています(図表2:民間エコノミスト予想の平均)。

 インドの成長率見通しは、中国を上回っており、「アジアの成長を牽引する国は自由民主主義で資本主義経済のインド」との印象を経済界や内外投資家に与えています。また、成長のけん引役が個人消費、投資、農業など「内需」が中心であることにも注目です。

 2014年に首相となったモディ氏による「高額紙幣の使用停止」(脱税のまん延を防ぐ目的で実施)など構造改革がもたらした「痛み」で、17年から18年にかけて成長率はやや鈍化しましたが、改革効果が幅広い分野に広まり国内需要が回復。今後は貧困率の低下と1人当りGDP(国民総生産/約2,036ドル/IMFの2018年予想)の底上げが「5年の任期延長」を得た新モディ政権の課題とされます。

図表2:インドの成長率予想は主要国でトップを維持

出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2019年5月22日)

 インド経済の長期的な成長エンジンは「総人口の増勢」と言われています。図表3が示すとおり、国連の人口調査・予想によると、インドの総人口は約13.4億人で、現在は(中国に次ぐ)世界第2位ですが、2025年前後には14億人台で中国を上回り、2030年には15億人に達する見込みです。加えて、総人口における「生産年齢人口(15 歳以上65 歳未満)」の比率は2040 年まで上昇し続ける見通しです。

 長期的な投資戦略を考えるにあたっては、高い経済成長が見込めるインド株式や「インドでの事業や投資で収益を拡大できそうな企業」(インド関連株)を検討したいと思います。

図表3:インドの総人口は増加を続ける見通し

出所:国連の調査・予想より楽天証券経済研究所作成