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中国国家統計局は毎月、主要70都市の新築・中古住宅価格動向を発表しています。この統計は、前月と前年同月からの『住宅価格』の比較について、各都市別に指数で公表されています。2019年4月は新築・中古とも前月より『住宅価格』の上昇率が高まりました。景気センチメントは悪化しているものの大都市では住宅への需要が根強く、住宅市況は堅調に推移する見込みです。
【ポイント1】4月は新築『住宅価格』が上昇した都市数が増加
新築・中古ともに前月から価格の上昇が加速
中国国家統計局が5月16日に発表した2019年4月の「主要70都市新築住宅価格動向」によると、主要70都市のうち、『住宅価格』が前月比で上昇したのは67都市と、3月の65都市から2つ増えました。
『住宅価格』は一人当たり所得で加重平均すると、新築住宅が前月比で3月の+0.56%から4月は+0.62%へ、中古住宅が3月の同+0.45%から4月は同+0.53%へ加速しました。
【ポイント2】住宅市況は全国的に上向き
中古住宅市況は、新築住宅市況よりも大都市の供給不足による需給の歪みなどの影響を受けにくく、住宅市場に対するセンチメントの変化を把握する上で実態を反映しやすいとみられます。
4月の中古住宅市況は、北京や上海などの大都市だけでなく、地方都市でも『住宅価格』の上昇が前月比で加速しており、全国的に住宅市況が引き続き上向いていることがわかります。
【今後の展開】景気センチメントは悪化でも大都市を中心に『住宅価格』は堅調の見込み
5月上旬、米国が中国に対する追加関税引き上げを実施し、対米関係が再び緊張したことで、中国の景気センチメントは悪化していると思われます。そのため地方の小規模都市などでは『住宅価格』の上昇は収まっていくとみられます。
一方、大都市では住宅への需要が根強く、『住宅価格』はなかなか下落しないと思われます。中国の金融政策のスタンスが事実上の緩和に再び向かい始めていることから、潤沢な流動性が大都市の『住宅価格』をサポートする見込みです。