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豪州では5月18日に総選挙が行われ、モリソン首相の与党・保守連合(自由党・国民党)が勝利しました。選挙前の世論調査では、政党支持率はショーテン党首率いる最大野党・労働党が保守連合を上回り、6年ぶりの政権交代が予想されていました。与党・保守連合は下院(定数151)の過半数(76議席)を獲得する見込みです。
【ポイント1】予想外の保守連合勝利
前回の『豪州総選挙』以降、党内抗争・首相交代で与党の支持率は低下
5月18日に投開票が実施された『豪州総選挙』では、モリソン首相の与党・保守連合がショーテン党首率いる最大野党・労働党に勝利しました。保守連合は与党となった2013年以降、アボット氏の後に党内抗争でターンブル氏、モリソン氏と首相が交代し、国民の不信感が強まったことなどから支持率が低迷しており、予想外の勝利となりました。
豪公共放送ABCのニュースによれば、日本時間20日9時30分現在、開票率76%で下院(定数151)では、与党・保守連合が75議席、野党・労働党が65議席、その他6議席となっています。今後開票が進めば与党の議席が76に達するとの見方が出ています。
【ポイント2】選挙の争点は経済面の評価
与党は12年ぶりの財政黒字化などをアピール
豪経済は住宅価格の低迷や米中貿易摩擦の影響が懸念されています。保守連合は7月から始まる来年度予算案で、12年ぶりに財政黒字となる見通しや、低中所得者層の所得税減税、インフラ投資などの景気刺激策を示しました。
労働党は低中所得者層への手厚い減税、富裕層・大企業への課税強化や気候変動対策を示しました。しかし企業部門のコスト増や、投資用不動産の損失を所得から控除できる制度の制限策が不動産市況を下押しすることなどが懸念されました。国民は変化より安定を望んだとみられます。
【今後の展開】『豪州総選挙』後、景気刺激策による経済の下支えを期待
経済の先行きに不透明感が広がる中、景気刺激的な政策が必要とされており、与党が予算案で示した減税による個人消費の増加や、インフラ投資の増加による雇用の維持などが期待されます。冷えこんでいる中国との関係改善も重要な課題です。
上院(76議席)では40議席の改選が行われましたが、開票率50%時点での与野党の獲得議席数は拮抗しており、どちらも過半数には達しない見込みです。豪州は上院が予算案の拒否権を持つため、新年度予算の通過には少数政党等との調整が必要になるとみられます。