消費税不要論とMMT(現代貨幣理論)って何?

 消費税は分かりやすい形で課せられ、日々の買い物のたびに負担額に気づくので、様々な税金・公的負担の中でも特に不人気です。あまりに不人気のためか、とうとう、MMT(現代貨幣理論)と結びついて、増税延期論だけではなく、消費税引き下げやそもそも消費税は不要という意見まで出てきました。

 MMTとはModern Monetary Theoryの略で、自国通貨建ての政府債務はデフォルトしないため、政府は財政赤字や債務残高などを気にせず、景気を安定させるために財政政策を行うべきで、留保条件として、インフレが進みそうだったら、財政政策を変更する、ということのようです。

“ということのようです”とは、歯切れが悪いですが、MMT賛成派の間でも整合的・体系的な理論が構築されておらず、近い意見を集めて、おおむねこういう感じというぐらいにしか纏められないからです。

 賛成派の間で整合的・体系的な理論がない点については、いわゆるリフレ派も似たり寄ったりですが、MMTについてはリフレ派も主流派の経済学者も反対しているだけではなく、日本でも米国でも、政治家や中央銀行関係者、あるいはウォーレン・バフェットといった投資家、ラリー・フィンク(資産運用会社ブラックロックCEO)など、大御所・有識者がこぞって反対しています。経済学の議論は賛否両論あることがほとんどですが、ここまで圧倒的に反対派が多い理論も珍しいと思います。