減産延長への第2関門である“高い減産順守率”について、その目安が来週公表される

 現在の減産は、2019年1月から6月まで行われる予定です。減産参加国や生産量の削減幅などのルールは、2018年12月の総会で2017年1月から行ってきたものを一部変更したものです。

 仮に、6月25日のOPEC総会、翌26日のOPEC・非OPEC閣僚会議で昨年同様、減産順守率を100%に引き下げて、減産を順守しながら限定的な増産を行うことで合意した場合、直前の減産順守率が増産できる量を決めるカギとなります。

 以下は、OPECプラスが2018年12月に合意した削減予定量と、IEA(国際エネルギー機関)が公表した、2019年1~3月までのOPECおよび非OPECの減産順守率、そしてそれらから推定したOPECおよび非OPECの削減量、そしてOPECプラス全体の減産順守率です。

図:現在実施中の減産における減産順守率(一部筆者推定)

単位:千バレル/日量
出所:海外主要メディアおよびOPECのデータより作成

  OPECプラス全体の減産順守率は、1月は66%2月は80%3月は124%と推定され、徐々に減産順守率が上がってきていることが分かります。

  3月時点の減産順守率をもとにすれば、100%を超えた24%分、つまり日量29万2,000バレル分が増産できる量となります。10%減産順守率が上昇するごとに日量およそ12万バレルの増産ができる計算です。

  原油生産量のデータは経済統計と違い、調査方法が異なるため、大差はないものの、公表する機関によって異なります。

 このため、IEA自らが集計した原油生産量をもとにして計算・公表した減産順守率と、OPECプラス(OPECやロシアで構成される24カ国)のうち10カ国で構成されるJMMC(Joint Ministerial Monitoring Committee /減産監視委員会)が公表する減産順守率は同一ではありません。

 JMMCによれば、1月の減産順守率は83%2月は90%でした。5月19日に、サウジのジェッダで開催される次回のJMMCで3月と4月の減産順守率が公表されるとみられ、徐々に上昇してきているIEAの減産順守率を参照すれば、JMMCが公表する3月の減産順守率も100%を超える可能性があります。

 減産順守率が100%を超えれば、6月の総会で昨年同様、減産順守率を100%に調節する(引き下げる)ことで合意し、増産を行う可能性が出てきます。

 すでにイラン石油制裁の猶予期限が終了し、同国産原油の供給が本格的に減少していくとみられる状況になったため、減産期間中であったとしても、イラン石油制裁猶予期限終了を口実に増産を実施すると訴えやすくなっています(増産への第1関門はクリア)。さらに減産順守率が100%を超えているとなれば、2018年同様(第2関門をクリアして)、6月の総会で実質的な増産を決定する可能性がさらに高まります。