今のところは、「FRBが利下げをすれば今回の関税引き下げによる影響をカバーできる」、「6月下旬にはG20の首脳会合が予定されていることもあり、早い段階で進展があるだろう」という強気の見方も多いようですが、米中摩擦が長期化し、金融緩和が米中の経済指標の悪化に抗えなければ、これまでの楽観シナリオは逆回転し、悲観シナリオとなってしまう可能性があることは意識しておく必要があります。

 実際に、昨年末にかけて見せた下落相場は、中国企業の華為(ファーウェイ)幹部逮捕による米中関係の悪化や、中国経済指標の鈍化、米長期金利上昇による米国経済のピークアウトなどが連鎖的に警戒されていました。

 

日経平均(週足)は下方向への意識強まる

 また、下の図5は日経平均の週足チャートですが、ローソク足の実体が52週と13週移動平均線の「2本下抜け」となっています。ローソク足のヒゲも合わせると、26週移動平均線も下抜けており、下方向への意識が優勢になりつつあります(下の図5)。

■(図5)日経平均(週足)の動き(2019年5月10日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 そのため、今週は相場の落ち着きや反発への期待に素直に乗るのも悪くないと思われますが、その地盤はもろい一面がありますので、戻り高値の重たさや、さらなる下落への警戒もしておく必要がありそうです。