本日の注目通貨

ドル/円:2分でわかる!GW中のドル/円まとめ

 トランプ大統領が対中関税引き上げを発表するまでのドル/円は静かな取引が続き、GW期間中だった先週一週間のドル/円のレンジは111.90円から111.04円と1円も動きませんでした。

 この期間を振り返ると、4月29日、ドル/円は好調な米指標が作ったリスクオンの動きに乗って112円を狙いに行ったものの失敗。高値は111.90円までした。

 5月に入り、FOMC(米連邦公開市場委員会)が会合を開き政策金利を据え置きましたが、IOER(超過準備預金金利)の利率を引き下げたことがFOMCのハト派色が強まりと解釈されて、この時ドル/円は111.04円まで下落。ところがパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が、IOER引き下げは緩和政策とは関係ないと否定、さらに現在の低インフレは「一過性」と前向きな見解を示したため、ドル/円も110円台手前でストップがかかりました。

 4月米雇用統計は、失業率が半世紀ぶりの低水準まで下がり、米経済の強さを証明しました。ただFRBが「雇用増加がFRBの政策に影響を及ぼすことはないだろう」と、現段階で利上げの必要性がないことを強調しました。

 FOMCで米利下げ懸念が和らいだことはドルの支援材料ですが、かといって雇用統計が強くても利上げするわけではなく、FRBの様子見はしばらく続くということで全体的としては中立。ドル/円を動かす材料は、再び米中関税問題になりました。

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ユーロ/ドル:約2年ぶり安値つける ユーロ/円:すでに125円が重く、123円方向へ

 ユーロ/ドルは、4月26日に1.1110ドルまで下げて、2017年5月30日以来約2年約ぶりの安値を更新しました。しかし、その後は、ユーロ圏の消費者物価指数や景気先行指数のPMI(購買担当者景気指数)が徐々に回復していることがきっかけとなって1.1219ドルまで反発。

 ユーロ/円は上値が重く、1日(水曜)の125.23円がGW中の高値。125円台にとどまることができず、3日(金曜日)には124円台前半まで下げ、6日には123.36円まで売られました。

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ポンド/円:選挙に負けたメイ首相は辞任?

 ポンドは、これからもブレグジット関連のニュースで動くことになりそうです。
5月2日に実施された英国の統一地方選では、メイ首相の与党保守党と最大野党の労働党が共に惨敗。一方でEU残留を主張する少数党が票を伸ばしました。この結果に両党が危機感を持ちブレグジット協議が進むだろうとの期待で、ポンド/ドルは29日(月曜)の安値1.2904ドルから選挙後の3日(金曜日)には1.3176ドルまで上昇しました。ポンド/円も30日(火曜)144.05円から3日に146.48円まで上昇。しかし、メイ首相が選挙敗北の責任を取って辞任に追い込まれることになれば、政局の混迷は深まりポンドにとってマイナス材料となります。

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豪ドル、NZドル:今週利下げか

 そして今週のハイライトは豪ドルとNZドル。
 RBA(豪準備銀行)は本日(7日)、RBNZ(NZ準備銀行)は明日(8日)に政策会合を開きますが、両中央銀行とも「利下げ」するとの予想になっています。すでにマーケットの関心は、5月の次はいつ利下げするかに移っています。その時期の違いが、豪ドルとNZドルの関係に影響を与えることになるでしょう。

 米中貿易協議が決裂ということになれば、豪経済にも大きな影響がでます。トランプ政権の対中関税政策の転換がRBAの利下げ確率をさらに高めることになりました。ただ、今回は「利下げの予告」だけという見方もあるので、注意が必要でしょう。

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