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 2024年度の上期を目途に、約20年ぶりに『新紙幣』が改刷されることになりました。日本では、通貨の流通割合が世界の中でも突出して高くなっており、偽造防止効果を強化することは重要なこととなっています。一方で世界的にはキャッシュレス化が進んでおり、日本でもQRコード決済など様々なキャッシュレスの形が広がり始めています。今後、紙幣の流通はどのようになっていくのでしょうか?

 

【ポイント1】約20年ぶりに『新紙幣』へ改刷

高精細なすき入れ模様や最先端技術を用いたホログラムの導入で偽造防止強化

 今月上旬、政府と日銀は、千円券、五千円券、一万円券の『新紙幣』を2024年度上期を目途に発行すると発表しました。『新紙幣』への改刷は、2004年度以来、約20年ぶりのことです。今度の『新紙幣』では、紙幣の中央などにあるすき入れ(すかし)には現行に加えて新たに高精細なすき入れ模様が導入されるほか、紙幣への採用は世界初となる最先端技術を用いたホログラムが導入されます。これにより、偽造防止対策が強化されます。また、券種間の識別性向上などのため、券種毎にすき入れやホログラムの位置を変更したり、指の感触により識別できるマークの形状や位置の変更などが行われます。

 

【ポイント2】日本は世界でも通貨流通量の比率が高く、偽造防止が重要

紙幣の寿命は短く、改刷から数年で『新紙幣』が多く流通するように

 日本の通貨流通量は、2018年12月末時点で約110兆円となっています。これはGDP比で約20%となっており、その割合は世界の中でもとても高く、紙幣の偽造防止強化は重要なこととなっています。

 日銀によると、紙幣の平均寿命は一万円券で4~5年程度、五千円券や千円券で1~2年程度とされていて、汚損の状態などにより、順次新しいお札と入れ替えられています。このため、2024年度以降の数年で、流通する紙幣の多くを『新紙幣』が占めるようになると考えられます。過去に発行された紙幣は引き続き使用可能ですが、タンス預金の掘り起しなどの効果も期待されています。

 

【今後の展開】ATM等の特需の一方、ひいてはキャッシュレス化推進にもつながる

 世界的には現金を使わないキャッシュレス化が進んでいます。経済産業省発表の「キャッシュレス・ビジョン」によると、日本のキャッシュレス決済比率は18.4%(2015年時点)と、主要国が40~60%であるのと比較して低くなっています。政府は、キャッシュレス比率を大阪万博が開催される2025年に40%、さらに将来的には世界最高水準の80%を目指して、キャッシュレス化を推進しています。『新紙幣』への改刷により、ATMや自動販売機などの特需が期待されていますが、一方でその改修費用の抑制のためにキャッシュレス対応の機種が増えていくとも見られ、ひいてはキャッシュレス化推進の一助となっていくと考えられます。