4月雇用統計の注目点は?
昨年まで定期的に利上げを実施してきたFRBですが、インフレの明らかな加速が見られないなかで、今年に入り利上げ休止が妥当だという判断を下しました。
現在は様子見が続く状態ですが、マーケットの一部には、FRBの次の動きは利下げだという意見まで出ています。しかし、この考えはやや悲観すぎるように思えます。
むしろ、新規失業保険申請件数の減少に見られる労働市場の強さが、賃金上昇を促しインフレ率に波及するのは時間の問題と考えるべきで、FRBが今年後半にも利上げを再開する確率の方が高いのではないでしょうか。
その意味でも、今回の雇用統計では、非農業部門雇用者数の強さを確認する以上に労働賃金の上昇率に注目する必要がありそうです。
「労働賃金上昇」もリスク
前回の雇用統計では、雇用が伸びて失業率は半世紀ぶり低水準、でも賃金上昇はそれほどでもない。米経済は強いけれどインフレは不在。利上げの影におびえることなく好景気を存分に満喫できるという環境に恵まれ、株式市場には追い風が吹いています。
ただし、ドルにとっては「良くも悪くもない」状況。雇用者増加は米経済好調というドル高材料ですが、金利は上がらないことがドルの上値を抑えます。別の見方をすると、労働賃金上昇はドル買い材料になりますが、株式市場にとっては金利高のイメージで売り材料ということになります。今回の雇用統計で労働賃金が上昇していたとしても、それを嫌気して株価が急落することになれば、マーケットはリスクオフに傾き、ドル/円がドル安/円高に動くことも考えられます。