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 世界的な景気減速懸念を背景に、米連邦準備制度理事会(FRB)など各国中央銀行は景気に配慮したハト派的な金融政策に舵を切りました。日本でも日銀短観3月調査で大企業製造業の景況感が大幅に悪化するなど景気の先行きに不透明感が強まる中、『日銀緩和期待』が高まっています。日銀の金融政策に関する市場予想では、日銀が次に行う政策変更は追加緩和になると予想する人の割合が増えています。

 

【ポイント1】『日銀緩和期待』が高まる

次の政策変更は追加緩和、ただし金利の引き下げは予想せず

 4月24~25日の日銀金融政策決定会合を控え、市場では、『日銀緩和期待』が高まっています。米大手情報サービス会社Bloombergの調査では、日銀の次の政策変更は追加緩和と予想するエコノミストが48%と、前回3月調査の37%から増加し半数に近づきました。

 一方、同調査では、金利の引き下げは想定していないとの見方が大多数を占めています。背景にはマイナス金利拡大の効果に懐疑的な見方が広がっていることがあげられます。

 

【ポイント2】景気の先行きに不透明感

1-3月期はマイナス成長の可能性高まる

 日銀短観3月調査では、海外経済の減速が輸出や生産に影響し、大企業製造業の業況判断指数(DI)が大幅に悪化しました。悪化幅は約6年ぶりの大きさです。他方、設備投資計画については底堅い動きとなりました。

 輸出や生産の下振れから19年1-3月期のGDP成長率はマイナス成長となる可能性が高まっています。

 

【今後の展開】『日銀緩和期待』は根強いものの、現状維持と見る

 市場では、消費増税が予定通り実施された場合でも、政府の経済対策などにより当面は景気後退に陥る可能性は低いとの見方が大勢です。しかし、景気に力強さが見られない上に増税となれば、景気は悪化すると見る向きも少なくなく、『日銀緩和期待』が根強い理由となっています。

 消費増税の影響を見極めなければならないタイミングでは、日銀は現状の金融政策を維持するものと考えられます。景気後退に陥った場合に備え、日銀にとって追加緩和は残しておきたい手段です。追加緩和を余儀なくされる事象、たとえば1米ドル=100円以上の急激な円高の発生や景気後退、などが起こった場合には、フォワードガイダンス(中央銀行が事前に示す将来の金融政策の方針)の強化やETF購入などが予想されます。