本日の注目通貨
ドル/円:今年の高値に接近中
111.64円でオープンした12日(金曜)のドル/円は、東京時間から買いが優勢。下は111.58円までと浅く、その後は徐々に値を上げNY時間午後遅くに高値112.09円に到達、3月5日以来の高値を更新しました。終値は112.01円で、112円台の終値は昨年12月19日以来のこと。年初来高値(112.15円)が視野に入ってきました。
長引く米中貿易戦争で中国の景気減速が世界経済に及ぼす影響が心配される中で発表された中国の3月貿易黒字が326.4億ドルと予想を大幅に上回ったこと。これがドルが買われるきっかけとなりました。
米国でも、FRB(米連邦準備制度理事会)が経済見通しを引き下げるなど経済の先行き不安が増していたのですが、金曜日発表の米大手金融機関の決算は好調で、ダウ平均株価は大幅反発。景気先行き不安がやや後退したことで、ドルだけでなく景気に敏感なユーロや豪ドルも同時に上昇しました。
ドル/円に関していえば、先週111円を下回ったのを見てマーケットがドル売り方向に傾いていただけにストップの買戻しが入ったこともあるようです。
豪ドル/円:年初来高値を更新
12日の豪ドル/円は79.51円でオープン。昨年12月から5カ月近く豪ドル/円の上昇を阻んでいた79.85円の強い抵抗ゾーンを突破できたことで弾みがつき、80円にのせると80.49円までで一気に上昇。
今週は、RBA(豪準備銀行)議事録、3月失業率という重要なデータの発表があります。
RBAは今月2日の会合で政策金利を現行の1.5%に据え置くことを決定。しかし、「利下げ」を暗示する声明を発表したため、豪ドルの先安観が強まりました。豪の経済データは、第4四半期の経済成長はRBAの目標を下回るなど、弱さが目につきます。その中で唯一強さを保っているのが雇用市場。雇用データまで悪化することになれば、マーケットは豪ドル売りに動くでしょう。
トルコリラ/円:下落
ドル/円やユーロ/円、豪ドル/円が上昇した一方でトルコリラ/円は下落。金曜日は19.19円まで下げて3月28日以来の安値をつけました。トルコ統一地方選挙後の上昇分を全て吐き出したことになります。
トルコ財務省が経済計画を発表しましたが、格付け会社ムーディーズは「具体策に欠ける」と一蹴。政治的にも米国とのぎくしゃくした関係が続いていて、トルコがミサイル購入などを通じてロシアに急接近していることが米国の不興を買っています。
トルコリラ/円の次サポートは、統一地方選挙前の3月23日につけた18.73円。この時は、エルドアン大統領が欧米の銀行による投機的な動きだと激怒して、トルコ中央銀行(CBRT)がリラの調達(ファンディング)金利を引き上げるなど流動性を締め上げた結果、翌日物スワップ金利が1,200%を突破して市場機能は完全に麻痺しました。トルコリラ/円が前回の安値を更新することになれば、同じことがまた繰り返されるリスクもあります。
しかし、その代償としてトルコの外貨準備は3月の3週間で100億ドルも急減。同じことが「できなくなる」リスクもまた高まっています。海外投資家はトルコ市場に「弱気」姿勢を強めています。