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 米連邦準備制度理事会(FRB)は、年に8回開催する米連邦公開市場委員会(FOMC)のうち3、6、9、12月に開く会合で、FOMCメンバーによる米国経済と政策金利の見通しを公表しています。米国の政策金利はフェデラルファンド(FF)レートですが、FOMCメンバーが予想するFFレートの水準を “点(ドット)”の分布で表現したグラフは『ドットチャート』と呼ばれ、将来の政策金利の動きを予測するうえでの判断材料とされます。

 

【ポイント1】2019年3月開催のFOMCで金利を据え置き

バランスシート縮小も発表

 FRBは4月10日、3月19日、20日に開催されたFOMCの議事要旨を公表しました。この会合では、市場の予想通りFFレートの誘導目標レンジを2.25%~2.50%で据え置くことが決定されています。

 また、バランスシート(FRBが保有する資産)の縮小ペースを徐々に緩めていき、9月末で終了する方針が示されました。

 

【ポイント2】『ドットチャート』の中央値が低下

19年の利上げは見送られる見通し

 FOMC参加者によるFFレート予測値の分布を示す『ドットチャート』は、18年12月時点に比べ、予想の中央値(数値を小さい順に並べた時、中央に位置する値)が引き下げられました。

 19年末は2.88%から2.38%となり、19年の据え置きを予想したメンバーは前回の2名から11名に増加しました。昨年12月時点で2回想定されていた19年の利上げは、見送られる見通しです。また、20年末および21年末は3.13%から2.63%に引き下げられました。20年は1回の引き上げ想定が維持され、利上げはそこで打ち止めとなる見込みです。

 

【今後の展開】インフレが抑制される中、FRBは当面金利を据え置き

 議事録によると、3月のFOMCでは主にインフレ圧力が低下していることを踏まえて、年内の金利据え置きが適切であると議論されており、FOMCの結果を裏付ける内容となりました。

 足もとの金融市場は昨年後半から年末にかけての急落から落ち着きを取り戻しており、米国経済も2019年後半から2020年にかけて持ち直しが期待されます。一方、FRBは物価が上がらなければ利上げをする必要がないという方針にシフトしており、政策金利は当面据え置かれると見られます。